ひろるーく

TAR/ターのひろるーくのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
4.2
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団における女性初の首席指揮者という(設定の)リディア・ター(ケイト・ブランシェット)の物語(架空の人物)。

リディアは、いわゆるEGOTというアメリカエンタメ4冠を受賞している大物。EGOTはエミー賞(Emmy)、グラミー賞(Grammy)、アカデミー賞/オスカー(Oscar)、トニー賞(Tony)の頭文字とつなぎ合わせたもの。

そんなリディアの中身は丸々権力を振り回すおっさん。
その地位を利用してパワハラを行う。しかし、オケ支配の実力は随一。

映画の冒頭でエンディングロール(エンディングではないが)が流れ、30分はとにかく会話劇。
5分以上の長回し。台詞に次ぐ台詞。これがけっこうつらい。
僕はちょっとついて行けず、疲れた(序盤なのに笑)。
しかし、この会話劇であるインタビューなどのやりとりは物語の後半で生きてくるので、ちゃんと聞いておけばよかったと後悔した。

後半は早い展開。
早い展開で追い詰められたリディアの姿を描く。
しかし、そこでも彼女はプライドを失うことなく、とにかくまっすぐに立ち向かうのだ。
ある意味、このわがままこそすがすがしいと思ってしまったのは僕だけだろうか。

そして、ラスト。予想を大きく超えた展開にえ? え?と口が開く。
あー、もしかしたら、序盤に色々とヒントがあったのかも。
見逃していたのかも。と後悔したりもする。

とにかくケイト・ブランシェットの映画ですね。
とにかくその存在感。その演技力。
彼女のための映画、といっても過言ではありません。
他の人では考えられません(当初は男性主人公の脚本だったらしいですが)。

LGBTQに関しての云々ももちろんこの映画にはあるのですが、そのことは些細なことであると感じられます(もちろん、LGBTQに関して否定的とかそういうのじゃぜんぜんないですよ)。
つまりこの世にそのような性差別の問題があるのであれば、それを遙か超越したところにリディア・ターはいるのです。ちょっと説明が難しいですが。

2回目観に行かなきゃだな。
見落としてるとこたくさんあるだろうし、新しい発見絶対あるはず。

でも、この映画長いんだよね。2時間40分くらい。
そこまで長くは感じないけど、ちょっと耐えなければならない時間があります。でも見終わると熱に浮かされたような感覚。いろんなことが気になって。

やっぱり、もう一回観に行かなきゃだなー笑。


素晴らしい映画です。
誰にでもお勧めできる作品ではありませんが、はまる人はたぶん生涯ベスト10にも入れたくなるような存在感のある作品なんだと思います。

興味のある方はぜひ!
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