今泉力哉監督ファンとしては、大満足の作品でした。
愛、不倫、浮気。ありきたりな物語であるような、いや、こんなことはめったにないような。
今泉監督はいつも、台詞でありきたりな日常をかけがえのない物語に昇華する。本作も見事なできばえだと思いました。
妻サイ（中村ゆり）の浮気を知った茂巳（稲垣吾郎）。
書籍編集者と元小説家の現フリーライターである夫婦には、結婚した頃の仕事への情熱を愛に投影したかのような感情はない。冷めている。
サイは小説家として生きている茂巳が好きだったのだ。
でも、茂巳は今、小説執筆への情熱を失っている。
読者のプロとして生きている。
茂巳は、なので妻の浮気を知ってもショックを受けない。
ショックを受けないってどういうこと？ こんな一大事が起きているのに。大事件なのに。
そんな感情の機微から、他の登場人物たちの浮気、不倫の物語のそれぞれのコントラストを浮かび上がらせる。
怒る人もいる。いや、怒って当然。裏切りだものね。
基本ワンシーンの登場人物が2〜3人の会話で構成される。
今泉監督の長回しが生きている。舞台を見ているよう。
見終わった後に何か心にチクリ何かが刺さったような感情を残す。
僕はどうだろう？ と考えさせられる。
稲垣吾郎がよかったですね。
無感情（でもないのですが）なライターを見事に演じています。
村上春樹の小説を映画化したら、稲垣吾郎が適役なのではないでしょうか。適齢であればですが。
「MAXで焼き肉」。これは笑いました笑
おすすめの映画です。
