日本で一番古いボクシングジムだという荒川ボクシングジムに通うケイコ(岸井ゆきの)。彼女は生まれながらの聴覚障害者である。
ボクシングをするにあたり試合の時に、レフリーの声も聞こえない、ゴングも聞こえない、セコンドの声も聞こえないことは何よりの恐怖である、と会長(三浦友和)は言う。
しかし、ケイコは目がいい。ボクシングに対する目がいいと言う。
ケイコはすでにプロボクサーとしてデビューし、2連勝をあげる。
そして、次の試合も当然、勝つために毎日練習している。
彼女はなぜ、闘うのか。ボクシングをするのか。
ケイコはその聴覚障害のために、子どもの頃いじめられ、高校の時に教師を殴っている。
つまり、ずっと世の中から虐げられていることを感じてきて、根に持っているのだ。
だから、その鬱憤を晴らすため、闘う。殴る。殺す気で闘うのだ。単純だ。
そんな彼女の生き様を温かく包み応援してくれるのが、この古参荒川ボクシングジム。その会長と林(三浦誠己=いい味出してます!)。
ほんと温かすぎる。報われない彼女をとことんバックアップしてくれる。
ボクシングという舞台を通して、彼女の人生を輝かせてくれるのだ。
しかし、ジムは練習生の減少と会長の視力の衰えなどから閉鎖が決まる。
そして、会長が倒れる。
居場所を失いつつあるケイコは、最後の試合に向かう。恩返しと自らの人生の正当性を伝えるために。世の中に伝えるために。
そして試合は終わる。
ラストの試合から時間がたってからケイコは、最後の試合の対戦相手と会う。そこで。。。
淡々と物語が進みます。
心を閉ざしながらずっと何かと闘うケイコ役の岸井ゆきのが素晴らしい。
やはり存在感がありますね。この難しい役を難なくこなしています。
ボクシングのシーンに対して、いろいろな見方があるかと思いますが、デビュー間もない女子ボクシングは、だいたいこのレベルなんじゃないかなと感じました。
僕もそんなに詳しくはないですが、たまに配信等で見る限りでは、そんなに身体が作れているわけでもなく、パンチのスピードもこんなものだと思います。
!R2分ですからね、体力が男とはちがいます。
ですから僕はつくられすぎていないという面で、ある意味リアリズムを感じました。
あくまで個人の見方ですが。
かなり地味な作品ですが、何か心に残してくれる作品です。三宅唱監督素晴らしいです。
すべての方におすすめできる作品ではないかもしれませんが、僕は好きな作品です。