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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのYOKのレビュー・感想・評価

3.3
前評判がだいぶ良かったらしく夫が観よう観ようと盛り上がっていたので一緒に。とりあえず前売りもかったしワクワクしてた。

なんや、ノミネートも沢山されてるらしいし最近はやりのマルチバースものだし、その割に主人公がイケメン&顔面最強女子ではなくその辺に居そうな一般のおばちゃんってところで期待値は自然と上がってたのね。

結果的にはそこまでだった。
オープニングのレトロな感じ(?)とか最初の鏡の中に映る主人公一家の仲睦まじいシーンとかは良かったけど、そのあとは1時間くらいかもう少しずっと「うゔん...」ってなってた。







※以下ネタバレありの感想
※テンション低め
※文句多め






映画はタイトルをそのまま3章に分けてて最初が「エブリシング」次が「エブリウェア」でラストが「オールアットワンス」になっていたので、初見はこれは良いぞ!とワクワクした。

構成としては映画の7割が「エブリシング」。で2割半が「エブリウェア」。おまけ程度に「オールアットワンス」って感じ。この「エブリシング」の章が個人的に面白くなかったので、だいぶ致命的だった。

マルチバースと言っても主人公のエブリン(アメリカでコインランドリーを営む中国人)が直にそのちに行く訳ではなく、精神的に他の世界線の自分の意識とリンクしてその知識や動き、武術なんかを学んで戦うというもの。

マルチバースの世界に吹っ飛んで己と出会ってってタイプでは無いのは良かったと思う。ドクターストレンジみたいなのも好きだけど、精神的な転移っても好き。

ある地点でエブリンがどっちの選択をしたかで世界線が分岐する設定、ゲームみたいでいいなって思った。アンティルドーンとかライフイズストレンジとかやりたくなる。

今作の敵は、主人公エブリンの住むバースからはそこそこ遠くに住む世界でエブリンの子として生まれ、マルチバース間の行き来を出来るように虐待じみた訓練を受けた結果精神がぶっ壊れたエブリンの娘ジョイこと"ジョブ・トゥパキ"

ただそっちの世界でのエブリンがどんな人かは全く分からない(死んでるから)ので、トゥパキがどんだけ酷い目にあってどれだけ憎んでいるのかは正直伝わってこなかった。故に今ひとつ感情移入できず、どうしてベーグル作ったん?自分と同じ感覚を持ってる人を探したん?なんか精神がぶっ壊れたってより過激な反抗期...?って感じね、くらいの感想しか持てんかった。

ので、ラストの母親(エブリン)との和解も「ふぅん?」ってなってしまったかも。ただまぁ私も経験あるけど母娘の関係って難しいよね。うちも母のせいで傷ついてトラウマになってることあるし、逆に私が傷つけたこと沢山ある。そこだけは環境違えどちょっとわかるとこあったかも。

結構アクションシーンもあるんだが、メインがカンフーなのでカンフー映画に疎すぎる私ではそこまで興奮できなかった。

というか、日常とマルチバースとカンフーと親子愛と悪ふざけをごっちゃ混にしたような作品なので、好きな人は好き、無理な人は無理って感じが強かった。

個人的にアクションシーンに悪趣味な悪ふざけを混ぜてくるのがキツかった。下品なブツ(モザイクなしで...)で戦ってみたり、別の世界へ飛ぶためにバカバカしいことをしなければ行けない特性を活かしてアブノーマルなことしてみたり、動物愛護団体や愛犬家がぶち切れそうな戦い方をしてみたり、ここで私が笑うと思ったんか?バカにするな!とウンザリしてしまうところが多かったように思う。

あとなんか「レミーのおいしいレストラン」のオマージュもなんかイマイチ。わはは!ってなれる心の広さを持てればよかったんだけど、世界観に入り込めなすぎて笑えなかった。

バースからバースへ飛ぶ映像や、やたらめったら着替えるジョイ(ジョブ・トゥパキ)の斬新な衣装、どの世界線でも献身的にエブリンを支え愛するわウェイモンドなどは良かったかも。あと生物が生まれる条件の揃わなかった世界で石になって語り合うエブリンとジョイのシーンは見ていてなんか癒された。下手に人間なんぞに産まれない方がお互いを分かり合えるかも?と思わせてくる良き設定だった思う。

あと税金係の女性が思ったより目立ってた。指がソーセージの世界においてはもはやエブリンとその女性の世界。娘の同性愛を認められない一方で他のバースでは自身が同性愛者っていう設定は面白いと思う。けど、指がソーセージの見た目がなんか個人的に無理だった。生理的に受け付けられず見てるのもきつかったな。

ラストも、じゃあどうしたら良かったん!?って言われたら閉口するけど、ジョブ・トゥパキ思ったより物分り良くて草生えた。もっと驚異的な存在を期待してしまっていたので、なんか愛に飢えた、母親に愛されたかった精神未熟な子って程度に落ち着いてて物足りなかったかも。まぁ殺すのが目的ではなかったって劇中でも言ってたし、しょうがないかもだけどさ。

親になるのも子でいるのも難しいよね。ゴンゴンもエブリンも完璧な親では無いし、エブリンもジョイも完璧な子供では無い。そんな人どこにもいないだろうか結果的な私は「人間って難し!」って結論に落ち着いたわ。人間大変。

結果的にはそこまで楽しめなかった。
アカデミー賞作品賞ノミネートって、ま?って思ってしまっているし、もし獲得したらびっくりと同時になんか少し苦々しい気持ちになってしまうかもしれん。いや、私の感覚がアカデミー賞の審査をする人とは違うだけ、か...。

もう一回観たい?って聞かれたら、もういいかな。って思う。どうせまた私はお下品なあれこれで辟易してしまうと思うし、カンフーな世界観に乗れないだろうから。

ムビチケ買いに行った劇場で偶然目にして衝動買いした「フェイブルマンズ」に期待する。あと「エスターファーストキル」も楽しみだし「生きる」も見たいし「オットーという男」も気になるしシャマラン監督の新作も気になるし、ニコラス・ケイジがニコラス・ケイジしてる映画も気になるので、今年も無理なく行けるだけ映画館行けたらいいなと思う。

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