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すずめの戸締まりのichiのレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
4.0
九州の片田舎に叔母の環と住む鈴芽。
ある日、顔の整った美しい青年、草太に出会う。
ひょんなことから鈴芽はわざわいを防いでいたかなめ石を抜いてしまう。
全国各地にある廃墟の扉からミミズと呼ばれるものが入り込んできて、それが倒れればその地に災いがふりかかってしまうという。
草太はそのミミズを閉じ込める為にその扉に鍵をかける「閉じ師」だった。
日本列島の水面化を走りどこにでもでるミミズ。
かなめ石から解放された猫のセンニンを追いながら九州から東北までの鈴芽と草太の旅が始まる。

旅の先々で会う人の優しさに心が温かくなった。
閉じ師が大事な仕事にも関わらず陰に隠れ人知れずに働く。
わたしにはそれが人の何気ない気遣いや親切と重なって見えた。

2011年3月11日の東日本大震災が題材にあげられていて、もうあれから11年もの時が経っていることに驚いた。

風化、過疎化によってその地に薄くなっていく人々の関心や思い。
愛がなくなることがなによりわざわいの元ではないかと考えさせられた。

そうであれば愛を持つこと、それこそがわざわいを表に出すことを許さないことであり、愛を持つ一人一人がそれぞれ「閉じ師」なのではないだろうか。

地震や天災はこれから先も起こり得るだろう。けれど人が人を思いやる愛があれば、鈴芽が言っていたように「未来は、怖くない」と、言えるのではないだろうか。

死ぬことは怖くないと言い切っていた鈴芽が好きな人ができて心が変わった瞬間が印象に残った。
その人がいない世界を生きる方が怖いという言い回しって素敵。

自分が人に与える影響を過小評価せずに、小さな親切と感謝で溢れる世界になりますように。
そのように出来る1人でいたい。
そう思った。

ちゃんとした言葉をはっきり覚えてないが新海監督が「映画が人の心に良い影響を与える力があるなら、そのような映画にしたい」というようなことを言っていて、そのような映画になったよと伝えたい。

最後に、
前作に続きホンダの名機ガブが登場して欲しくなった。
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