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キリエのうたのichiのレビュー・感想・評価

キリエのうた(2023年製作の映画)
2.8
歌うことでしか声が出せないキリエ(アイナジエンド)は東京の路上で歌っていると、かつての友人イツコ(広瀬すず)と再会する。
2人の過去から現在の13年間が描かれている。

初っ端からこれは物語に没入できそうにないと感じてしまった。
そこからダラダラのっぺり続いていく。
誰にも共感できずはやく終わってと感じてしまう。
アイナジエンドの一人二役は無理がある。
イツコの時の広瀬すずはなんだか魅力を感じないけれど、高校生を演じているときは広瀬すずのその自然さや説得力のある演技の魅力が充分に出ていたと感じる。
広瀬すずの高校生の頃のとこの雰囲気が一番好き。松村君は存じてなかったけれど雰囲気のある素敵な俳優だと思った。アイドルなのね。これからも楽しみ。

アイナジエンドの歌と豪華な出演者に頼っただけの映画といった印象。
出演者にただの身内ノリな映画なんだと感じさせられた。

ほかの方の感想をみてこれぞ岩井監督!!
と、高評価を得ていて驚く。
でも「ラストレター」や「スワロウテイル」は見事な映画だったと思い出す。
話のつくり方が独特だからそれを理解しないとこの映画の良さを語るのに難しいのかもしれない。
自分もこの映画をみてその良さを語れる人になりたいと思いながら、でもそれは若さと一緒で求めても求められず。

先日文春オンラインでオダギリジョーさんのインタビューを読んだ。
彼は作家性や芸術性の強い作品を好んでいたけれど、だんだんと日本の映画はその作家性や芸術性が失われていった。
それに抗うように作家性の強いオリジナルの脚本を自らかいて今の日本の映画が見失っている映画をつくったと。
それを読んでそうだと頷いた。
自分もオダギリジョーさん派だと。

だけどキリエのうたがオダギリさんがいう芸術性や作家性を重視した映画だとすると、そこに面白さを見出せなかった自分に少し落ち込み、複雑な思いを抱く。

もっと感性を磨けたらと思う。
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