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君たちはどう生きるかのichiのレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
3.6
母を火事で亡くした眞人。
父の再婚相手がいる場所に引っ越しを余儀なくされた眞人。偶然崩してしまった本の見開きに母からのメッセージをみつける。
読むように勧められた本が「君たちは、どう生きるか」母の思いに触れ涙する眞人。
そんな折に森に歩いていく義母を偶然眼にする。気にも止めてなかったが、使いの老婆たちの騒ぎから義母が戻らないことを知る。
歩いていく方向をみていた眞人はその行方を追うが、義母の行方を知っていそうな謎のアオサギに誘われ別の世界に迷い込んでしまう。果たして義母を取り戻し元の世界に戻れるのか。不思議な冒険が始まる。

今更ながらやっと時間ができ観ることができた。タイトルが映し出された時にジブリが始まったという興奮が沸々と湧き上がった。

少しレビューを見ていたので賛否分かれることも知っていた。
確かに謎に思えるシチュエーションや描写があり小難しい印象を受けるものの、純粋にジブリとして楽しめた。

その中で感じたことを素直にかけば、自分視点を、周りの人もそれぞれに持っていることを理解し、その上で認め、思いやることの大切さを学んだような気がする。

騙し、利用しようとしていたアオサギに友人だと言った眞人、義母に大嫌いだと言われても元の世界にもどそうとすることを辞めなかった眞人。
正確に覚えてないが憎しみや苦しみのある元の世界に戻るのか?と、異世界の人に問われるシーンがあった。
それでも戻らなきゃというようなことを眞人は言ったと思う。
そこからなんとなくアバターをつくって仮想世界を生きようとする人達、ネットの世界だけで生きる人達へのリアルに生きる世界への促しのように捉えた。
辛いこと、苦しいこと、理不尽なこと多くある現実の世界であっても、そこが自分の生きる場所で、その世界を生きるにあたって自分のことばかりではなく、周りの人を助け思いやることが、そんな世界でも喜びを得て暮らせることなんじゃなかろうかと思わせてくれた。

異世界で人知れずバランスを取り平和を作っている人がいたように、また異世界と元の世界が似ているところもあるということから、この世は悪いことが目立つ昨今であっても、きっと悪いことばかりじゃないことを教えてくれたように感じた。

眞人のその冒険から「君たちはどう生きるか」と、問われたように思う。

誰かの為に生きることを改めて考えされた。

2人の子供を生んだ義姉と話す機会があったが、完璧主義者で自分の時間を必要とする人だったが子供ができてからは、それらを犠牲にして、自分の価値観に時には妥協するようになったと、疲れはあるものの幸せそうにそう話してくれた。

母の偉大さに頭が上がらない思いになったと同時に、母という誰かの為に生きる存在にこの世を渡るヒントをみた。

現実を受け止め今を生きること。
自分以外の人のことを理解し認め、思いやること。
誰かの為に命を削るようなそんな生き方をしたいと、この映画をみて思った。
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