お弁当屋で働くちひろ(有村架純)は元風俗嬢。
そのことを隠すことはしない。
人に対してなんの偏見も裁きもしない、駆け引きも嘘もないちひろは多くの人を惹きつける。ちひろを通して交差する人間模様。
多くの人を惹きつけ、多くの人を癒していく。
自然な演技が見ていて心地いい。
大きな事件や展開が特別にあるわけじゃない。
ただ、ちひろさんの人柄からくる魅力が多くの人を癒していったように、それがそのままこの映画の魅力となっていると言えよう。
仕事の帰り道、人と比べて自分が人より多くの持っていないことを嘆き、悔やんでいた。
ため息を吐いては、あの時もっと別の道を選んでいれば、あの時なんでもっと考えなかったのか。そんなことを考える。
あの人ような環境で育っていたら自分はどうだったろうとも。
けれど、この映画を観て夢なんて掠ってもいないし、もう30も半ばで、まだ独身で同じ過ちをあいもかわらず繰り返し、志あるようで行動が伴わず、全て中途半端に思える自分でも、その自分だからこそ分かり合える、助けられる人もいるのかもって思えた。
その感想は今の自分、これまでの自分を肯定してくれるようだった。
今の自分をこの映画を観る前より好きになれたし、自信をもてた。
背伸びもせずに屈みすぎることもなく、人と目を合わせ嘘も駆け引きもなく接していきたい。そう思わせてくれた。
