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竜とそばかすの姫のichiのレビュー・感想・評価

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)
3.0
田舎で父と過ごすスズ。
地味で目立たないスズだか、親友に誘われて登録したネット上の仮想世界「U」では「ベル」と名乗り有名な歌い手として知れ渡っていた。
ここでは「アズ」と呼ばれる自分の分身をつくり新しい人生を歩めるのだった。
ある日仮想世界の中でベルはコンサートを開催するが途中で「竜」と名乗るアズに邪魔をされてしまう。
竜の存在が気になったベルはその正体を知る為に探っていくのだが…

描かれた高知の街並みも美しく、出てくる一人一人がキャラが立っていて、普通にこの人達のこの田舎での青春の日々を観ていたかったと思った。
インターネット上の仮想世界をテーマに作られていて、それがこの映画の目を惹くポイントなのだが、僕にはそれが邪魔に思えてしまった。
仮想世界での描写になると一気に興味がなくなって観るのに少し苦痛を感じた。
美女と野獣じゃん。
なんて、思ったりして。
まあ、オマージュなのだろうが。

最後の河原のシーンが好きだった。
あーなんか田舎に転校してきた歌の上手い女の子が紆余曲折しながら合唱部をつくって、恋だの友情だのに振り回され、悩み、最後には今までの苦労が昇華されるほどの合唱でっていう王道な青春ストーリーを彼らでみたかった。

そのネットの世界の匿名性、その状態で誰とでも繋がれることの弊害、ネットの世界は浅い関係なのに面倒臭い世界だと感じさせてくれた。

母親譲りの行動力をもったすずの成長に心安らいだ。

世界を変えるには、まず目の前の人の体温を感じることなのではないだろうか。
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