このレビューはネタバレを含みます
あらすじは一切公開されないことから、オリジナルストーリーなのか山王戦なのかと、あらゆる憶測が飛んでいた。
そのどちらだろうかと、あらゆる情報をカットし、ネタバレを防いで見に行った人が多くいたことだろう。
御多分に洩れず自分もそうだった。
油断した。
たまたま入った映画館のあるフロアのトイレで、スラムダンクを観終わった感想を話す2人に遭遇してしまった。
もう便器にむかって解放を始めてしまった手前動くことができない。
詰んだ。
そう、これは1990年から週刊少年ジャンプで連載された高校バスケを題材にした伝説の漫画スラムダンクの山王戦を描いた映画。
山王戦の試合を描きながら、漫画では描かれていなかった宮城リョータの家族、過去のエピソードが織り交ぜられながら進んでいく。
それだから満足度が高く、より、山王戦の名シーン一つ一つに思いが乗る。
赤木が「夢は叶った」と試合中に漏らすシーンがある。
赤木の夢は全国制覇だろう?
なのにどうしてだろうと疑問を抱いた。
観ていて思った。
あぁ、赤木が見ていた夢は全国の高校のトップに立つことではなく、同じ思いをもつ仲間とするバスケを夢見ていたのかもしれないと。
ようやく頼もしい仲間に恵まれた赤木の気持ちを思うと泣けてくるし、赤木の夢が叶っていて嬉しくおもった。
赤木がリョータを次期キャプテンと確信したシーンが好き。
名シーンは忠実に再現されその度に震えた。
三井の「静かにしろ」は観終わった人達の会話から人気あるなと感じた。
また、漫画では表現できない音楽を含めた音の緩急によってさらに山王戦が映画ならではの劇的で感動的なものとして創り上げることに成功している。
途中から鳥肌立ちっぱなし、右目から涙出っぱなしだった。
昔アメリカの友人にオススメの漫画を訊かれた時にスラムダンクと答えた。
どういう漫画?という彼の質問にバスケの漫画だよ。と、答えると彼は顔を顰めた。
バスケの漫画って楽しい?
どうやらバスケの漫画で何が楽しいのか想像つかないようだ。
これはただのバスケ漫画ではなく、バスケを通して誰もが経験する挫折と成長のプロセスを感じることができ、登場する誰かに又はみんなに自分自身を重ねて観られる部分がありそれ故に自分の人生の糧になるそんな作品のように感じる。
実際自分も定期的に漫画を読み直しては、指針と力を得ている。
この映画も、はやく帰って目標に向かって努力したいと思わせてくれる映画になっていた。
沢北の祈りの「自分に必要な経験をください」という地に足がついた祈り然り、宮城が人生のモットーとした兄からの「怖くても、怖くないふりをする」(完全な言葉は覚えてないが)は、学びとなった。
自分もハッタリを効かせてそれが本当になるように努力していきたいと思った。
恐れて行動に躊躇するよりはそっちのほうがいい。
そして沢北のようにどんな経験でも受け入れて成長できるように願う姿勢を謙虚に持ち、三井のように諦めず、また桜木のように常識に囚われず、流川の飽くなき向上心、そして赤木と木暮のように断固たる決意と夢をもって信じて時を忍耐強く待てるようになりたいと思った。
そのように自分のマインドに良い影響を与えてくれる。
この山王戦の勝利が、ただ最強の山王を初出場の湘北が破ったという高校バスケ史に残る一勝ではなく、宮城リョータにとって、また家族にとって兄の死を受け入れ前進する一勝だったことを考えると、漫画では得られなかった感情をもって山王戦を観ることができる。
あと、バッシュに目についた。
兄のソータが履いていたコンバースの黄色と黒のバッシュはウェポンだろうか。
欲しくなった。
最後の新天地で沢北と宮城が相対したシーンは震え上がった!
彼らの漫画で止まっていたこれから先を垣間見れてそれだけで満足。
黄色のユニが新鮮。
メンバー全員のみてみたいと期待しないではいられない。
画像、声優ともども違和感なく期待を超える作品だった。