結局カレー

すずめの戸締まりの結局カレーのレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
3.4
「君の名は。」「天気の子」どちらも自然の力がもたらす脅威と”本来”人智の及ばぬ天災に抗う姿が描かれるけれど今作も然り。それでいて現実に起きた、今も復興中にあるあの震災をこんなに具体的に取り上げるとは思わなかった。

日本人にとって地震は身近な災害で、明らかな予兆が見えたならそれは逃げ出してしまいたいほど怖く何がなんでも防ぎたい。でもそのために自分を犠牲にできるかって難しい。だから要石の役割から放たれたダイジンと閉じ師・草太の運命は複雑な胸中で見てた。環さんもまた被災した家族を支えるために犠牲を払ったひとりだし、綺麗事じゃなくこの震災や人ひとりと寄り添うことの難しさを痛感する。

人がかつて居た廃墟の扉を閉めていく。ぽっかり穴を塞いでいくように、傷口を瘡蓋にしていくように、新たに何かを築くには大事なことだと思ったしこのロードムービーを通じて描いたメッセージはとても真摯だとも思う。悲しみに蹴りをつけるってそう出来ることじゃないけど、区切りをつけるって大事。なかったことにするんじゃなくて鍵をかけてしまっておく。その時がきたら思い返してあけたっていい。

サダイシンの存在や草太の家系、環さんの変化など正直拾いきれなかった要素が多々あったのでもう一度見返したい。なんで猫だったんだろ、やっぱ導くものの象徴なのかな。他の人の考察ききたいです。