結局カレー

手紙の結局カレーのレビュー・感想・評価

手紙(2006年製作の映画)
4.0
マイベスト東野映画。テーマは「加害者家族」というべきか「罪」そのものというべきか。

自分のことを心から想ってくれるたった1人の家族の存在が自分の人生を阻む存在になったこと、その苦しみはどれほどのものか。「差別は当然」という言葉、目から鱗だったな。冷淡に聞こえるけど犯罪との接点を遠ざけてしまう心理はわかるし、その心理を理解せず差別を憎んで離れることはある意味独りよがりなのかな。この独りよがりに踏み込んでくれる人がいるかどうかで人生って変わるよね。バレては逃げてを繰り返すんじゃなくて、その事実を知っても手を差し伸べてくれる人を見逃さずに向き合うことが大事。

罪を犯す、ということは家族に罪を背負わせるってこと。裏を返せばその家族の苦しみを本人も背負うということ。罪を犯し続けていると悟る兄が背負った孤独と「しょうがないからずっと兄貴ですよ」と語った弟の最後の漫才が切なすぎた。兄との決別であり、絶対に切れない縁で繋がっていると伝えたメッセージ。あの玉鉄は邦画史に残る名シーンだな。

手紙って直接話すよりも本心が綴りやすいものであり簡単に嘘をつけるものでもあって、その両面をこの物語のキーにしてるの流石すぎて。エセ関西弁の沢尻エリカは気になったけど「手紙って命みたいに大事なときあんねんで」って言葉の重みはしっかり伝わってきた。最後は小田和正が涙腺を持ってきました、、