サンタ

生きる LIVINGのサンタのレビュー・感想・評価

生きる LIVING(2022年製作の映画)
4.8
「生きる LIVING」
原題「Living」

“最期を知り、人生が輝く。”

片道2時間以上の映画館で鑑賞🚗💨
日本映画界。
実写映画の巨匠である黒澤明さん。
共同脚本に橋本忍さんと小国英雄さん。
この伝説の3人が集まってできたのが、今作の基となった『生きる』という作品。
日本では傑作と称され、海外でもいつも映画ランキングの上位に、確固たる存在感を有し、国際的な評価をもらった映画史に遺る作品。
このように、リメイクなんて別につくらなくてもいいような名作が、遂にイギリス映画として蘇った。
1952年。
日本で『生きる』が公開された年。
第二次世界大戦の敗戦国となった日本🇯🇵
日米安全保障条約・サンフランシスコ平和条約により、日本は独立国家へ。
今の時代の幕開けともいえる年。
そろそろ高度経済成長💴もはじまる。
公務員👔は忙しくなり、“官僚主義”なので、マニュアル通りに業務をこなさなければならず、自分たちの利益をこだわり、上司の命令はぜったいと権力があからさまに存在しており、次々と溜まっていく問題は書類となって山積みに。そして、1年後。
1953年。
こちらは戦勝国となったイギリス🇬🇧
エリザベス2世の戴冠式👑
日本とは真逆で景気も良いかと思いきや。
公害🏭は起こり、物価は値上がり、砂糖と肉🍖などの贅沢品を輸入できずに、まだまだ配給制が続いていた。
第二次世界大戦💣の爆撃された現場はあちらこちらに残り、空襲からの再建という途方もない課題に直面し、裏では経済💵も復興させなければなりませんでした。
当時の国民は“安定”と“仕事”がほしくて躍起になっていたことが伺います。
国民のために仕事をする公務員🏢の人たちが、やるべきことを後回しに、書類は山積みに、そんな風刺の意味がこもり、同時に日本と根本的な部分は同じということがわかりました。
日本は独立して、経済も復興し、それは“結果”としてあらわれた。
イギリスは混沌としたなかに、エリザベス2世の誕生という“希望”があらわれた。
ここに違いがあるのだと思いました。
監督のオリバー・ハーマナスさんは『生きる LIVING』の舞台を『生きる』の1年後に設定した。
黒澤明さんが公開当時の“今”を描いているとすれば、オリバー・ハーマナスさんは“過去”を描いていることで、対比をなして、あの日から何も変わっていないのではないかと問題提起もしているところが、新人ながらも監督の手腕が光ったところと感じました。
脚本はノーベル賞受賞者🏆の作家であるカズオ・イシグロさん。
内容は『生きる』と『生きる LIVING』はほとんど変わらないのだが、上映時間が143分から102分に40分以上の時間を削った。それにも関わらず、物語の印象は変わらず、舞台が変わっただけで、さらに邦画の悪い部分の“回りくどさ”が無くなって、スッキリとまとまった印象の作品になっていると感じた。
また、主人公のビル・ナイさんが演じたロドニー・ウィリアムズの息子が奥さんの尻に敷かれているところは、1952年の日本の流行語大賞の『恐妻』という言葉がそのまま表現されていてよかった。
『日の名残り』
老人の執事が自分自身の過去を回想しながら、戻せない時間に対して、後悔をする。
『わたしを離さないで』
こちらも回想をすることで、命のあり方を描き、人生の最期が主題に、物語は進行していった。
この2作品しか読んだことないけれど、少なくともカズオ・イシグロさんと黒澤明さんの死生観には何かしらの繋がりがあったのではないだろうかと思った。
『ノマドランド』との共通点。
どちらも円環構造ということ。
春夏秋冬の流れにのって、また新たな季節(春夏秋冬)の流れにと、ひとつの『輪』のように物語が進んでいく。
今作も、起床して、朝食を食べ、家を出て、同じ時間に仕事をして、家に帰り、夕食を食べて、睡眠をとる😴
決まったルーティン通りに行動し、日々そうして“生きている”。
『ノマドランド』は季節の『輪』のなかで、『生きる LIVING』は1日の『輪』のなかで。
しかし、『ノマドランド』はこの『輪』のなかに自分から入り、身を任せているのに対し、『生きる LIVING』はその『輪』から抜け出そうとし、それは結果となって、最後の行動へと繋がっていく。
若い人に希望を託していく。
『生きる』は努力と生きる意味を問いかけて、『生きる LIVING』は生きるための希望は永遠に続くものと問いかける。
黒澤明さんの問いが、ついに答えとなる。
諦めたらそこで終わる人生が、挑み続けることで、それは希望になって、輝きはじめて、また新たな人生の第2章がはじまっていき、そのチャレンジはいつでもできることを伝えてくれた、今あるべき傑作だと思いました。
静かな映画が好きな方や、心を落ち着かせたい方、名演技を見たい方はおすすめ‼️

〜あらすじ〜
1953年、第二次世界大戦後のイギリス・ロンドン。役所の市民課に勤めるウィリアムズは、毎日同じことを繰り返し、仕事に追われる自分の人生にむなしさを感じていた。ある日、医師からがんで余命半年であることを告げられるが...。

2023-16🕴🎩

<ひとこと>
今日で『Filmarks』をやって3年が経ちました。最初は数名しかいなかったアカウントで、たくさん感想を投稿していき、2年目で長期間のお休みをし、最近に復活して、今はまた少しずつですが、投稿してきました。
今ではたくさんのいいね👍やコメント📝をしてくれて、元気をもらっています✨
ほんとうにありがとうございます😎
『Filmarks』はみんな優しくて、いつも癒されています😉
今年は受験が間近に迫ってきているので、それまでにできるだけ多くの感想を投稿できたらいいなと思います。
最後に、もういちど、みなさんいつもほんとうにありがとうございます(๑˃̵ᴗ˂̵)


最後の最後に、『ノマドランド』と同様に少し眠い場面があったことと、物語がやや単調だったのが、減点の原因です😉

この映画は人生の支えになると思った。
サンタ

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