みりお

ノートルダム 炎の大聖堂のみりおのレビュー・感想・評価

ノートルダム 炎の大聖堂(2022年製作の映画)
3.9
これはすごい👀✨
2019年に発生したノートルダム大聖堂の火事と、決死の覚悟で文化財の存続に取り組んだ消防士の半日が描かれているのだが、「どうやって撮ったの?」と頭の中で?マークが乱立するほど、とことんリアリティのある映像だった。
もちろん当時の野次馬がiPhoneやらで撮影した映像も織り交ぜてはいるものの、大聖堂が炎に包まれていくシーンは、言わずもがなだがこの作品のために後から撮影したもの。
火事の前のノートルダム大聖堂がそびえ立つシーンはこれでもかと言うほどリアルだし、ドーム型天井の崩落によって爆風が起きる様子は、絶対に本物に見える。
いまは焼けて無くなっているはずのノートルダム大聖堂が、目の前にもう一度そびえ立ち、もう一度焼失していくのを観ているかのような感覚に陥った。

それもそのはず。
この作品は、実際に大聖堂の内部で撮影したシーンと、スタジオになんと実物大のセットを作り上げたシーンとで構成されているとのこと。
火事で焼け落ちた部分を忠実に再現し、焼け落ちる前をカメラに納め、さらに焼け落ちる様もカメラに納めることに監督がこだわったからこそのリアリティだそう。
しかもそれを全編IMAXカメラで撮影し、さらにDolby Atmosの技術も用いて録音し、徹底的にリアリティを追求したからこそ味わえる臨場感は革新的✨
目の前に広がる光景があまりにリアルだからこそ、史実としてはノートルダム大聖堂の火事の結末を知っているのに、なかなか消防車が到着しない様子や、放水ホースが機能しない様子に、「850年の歴史が失われてしまう…!」とリアルな焦燥感を感じてしまう。
まるであの火事をもう一度追体験したかのような出来映えだった。

そして監督が「映画の目的は、大聖堂で大火災が発生した原因を追究することではなく、どのように大聖堂が救出されたのかを描くことにある」と言っている通り、消防士たちの決して諦めない様子がとても印象的。
大聖堂の大半が焼けてしまい、象徴的な尖塔が崩落し、本来ならそこで希望を失ってもおかしくないだろう。
けれど最後まで諦めず文化遺産の保持に努め、世界中の信者の希望である聖遺物を抱き抱えて守り、最も象徴的な正面の2つの塔を炎から守りきった様子には、本当に頭が下がる思いでした。


【ストーリー】

2019年4月15日、パリにあるノートルダム大聖堂で、ミサの最中に警報機が火災を検知するが、大聖堂の関係者たちは誤報だと思い込んで素早い対応を取らなかったために炎が広がってしまう。
消防隊が到着するが、大聖堂の狭く複雑な通路が消火活動を妨げ、キリストの聖遺物の搬出は難しい状況になっていた。
大聖堂の周囲に集まった人々が祈りを込めて「アヴェ・マリア」を歌う中、消防隊はエマニュエル・マクロン大統領の許可を得て、最後の望みを懸けた作戦に打って出る。


【キャスト・スタッフ】

*監督:ジャン=ジャック・アノー

フランス出身🇫🇷
1960年代後半からCM製作で活躍し、1976年に『ブラック・アンド・ホワイト・イン・カラー』で映画監督デビュー🌟
この作品はデビュー作ながら、第49回アカデミー賞外国語映画賞を受賞しています🏆
その他の作品は『子熊物語』『愛人/ラマン』『スターリングラード』など。
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