みりお

ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人のみりおのレビュー・感想・評価

3.5
「今日はベルサイユは大変な人ですこと」
ベルばらファンなら一度は真似したことのあるこの台詞をスクリーンで観られちゃった♡
まずはそこに感動✨

そして18世紀フランス王室というだけで大好きなジャンルすぎて、評価が甘くなっていることは自覚していますが、ほんっとうに面白い✨
実際の舞台であるヴェルサイユ宮殿で撮影された映像、CHANELが全面協力したドレスやジュエリーは豪華絢爛で、スクリーンを眺めているだけでも目が幸せ。
その中で渦巻く愛憎、妬み嫉み、策略、意地の張り合い…面白すぎて、あっという間の114分でした。

ただ多くの評価にあるように、やはりデュ・バリー本体が…こりゃダメだ🙅‍♀️
監督脚本を務めたマイウェン自身がデュ・バリーを演じてしまったこと
少女時代のデュ・バリーに息を呑むほど美しい子を起用してしまったこと
登場する男性が全員美男子で(なんとあのルイ16世まで高身長イケメンw)、なぜかデュ・バリーに常に優しいこと
登場する女性は全員デュ・バリーを目の敵にして、それでもめげずに可憐に振る舞うこと
そしてなによりルイ15世との関係をとことん純愛として描いたこと
全ての要素が「自己満PR映像」感を強めてしまっている。
加えて歴史解釈がとことん雑なことで、歴史ファンやフランス王室ファンが毛嫌いするような内容にも仕上がっているし…
特に日本では池田理代子大先生のベルばらのおかげでデュ・バリー伯夫人の基礎知名度が高すぎるから、「国王を体で虜にして贅沢の限りを尽くした娼婦が何を言っているのよ」とより強く思われてしまうのでは🤔

当時の2人の心は誰も知り得ないものだし、純愛かどうかは周りが決めることではない。
ただ唯一言えるのは、税金を湯水のように使い、宮廷内で絶大な権力を奮い、神の教えに反してまで公妾という立場を手に入れた、デュ・バリーという女性の人間臭い側面を一切描くことなく完結させたことに無理があったのでは?ということ。
完璧な舞台と完璧なお衣装が揃った作品だけに、そこにリアリティがないことが、本当に残念でした😭

ただ久々の本格スクリーン復帰となったジョニー・デップは、さすがお見事👏
『ギルバート・グレイプ』の頃を彷彿とさせるような、佇まいと目線で演技をするジョニーに痺れてしまった。
絶対権力者であるがゆえの孤独や悩み、それを唯一癒してくれる女性に出会えたことの喜び、しかし宮廷中からその存在を批判され、愛する人を守りきれなかった悔しさ…
その全てが凝縮された最期のシーンは圧巻。
ジョニーの完全復活を観せてくれたことだけでも、この作品には価値がある。


【ストーリー】
貧しく生まれ、娼婦同然の生活を送っていたジャンヌ(マイウェン)は、類まれな美貌と知性で貴族の男たちを虜にし、ついに時の国王ルイ15世(ジョニー・デップ)と対面を果たす。
二人は瞬く間に恋に落ち、そして国王の公妾となったジャンヌ。
しかし堅苦しいマナーやルールを平気で無視するジャンヌは、保守的な貴族たちから反感を買ってしまう。


【キャスト・スタッフ】

*監督・デュ・バリー:マイウェン
フランス出身🇫🇷
1981年に5歳で映画デビュー🌟
以後人気子役として活躍し、1991年にリュック・ベッソンと出会い女優業を一時中断するも、1994年にベッソン監督の『レオン』へ出演。
その後ベッソン作品にいくつか出演しますが、破局後はフランスに戻り女優活動を再開し、さらに2006年に『PARDONNEZ-MOI』で長編映画監督デビュー🌟
2011年の『パリ警視庁:未成年保護部隊』は第64回カンヌ国際映画祭審査員賞を受賞しています🏆

*ルイ15世:ジョニー・デップ
『チャーリーとチョコレート工場』でみりぺでぃあ記載済。
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