みりお

パスト ライブス/再会のみりおのレビュー・感想・評価

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)
3.5
試写会にて鑑賞🌟

韓国系カナダ人の新人女性監督が制作、キャストも韓国系で固め、かつ『パラサイト 半地下の家族』を配給した韓国の投資会社CJ ENMによって製作された作品が、オスカーの作品賞にノミネートされるなんて、まさしく快挙。
アジア作品の勢いが止まらないのは、本当に嬉しいなぁ。

そして作品について。
「運命」という意味で韓国で使われる言葉「イニョン」、これが本作のキーワード。
前世-Past Lives-で運命の2人であったであろう男女が、イニョンによって現世でも何度も導かれ、奇跡のような再会を果たす心踊る展開もあれば、イニョンで繋がれているが故に訪れる切ない展開もあり、大人向けのファンタジーストーリーとしては中盤までかなりよき。
ただイニョンに若干囚われすぎている感もあり、イニョンを感じている2人以外の目線から観ると、若干現実離れした展開も…
どれだけこのほろ苦い世界をファンタジーと捉えて没入できるかが、評価の分かれ目かな?

ラストシーンはかなり賛否が分かれる展開だろうなぁと思ったけど、世界で強く逞しく生きるノラが、一体誰の前で泣き虫-Cry Baby-になれたのか…が、彼女の選択の瞬間だったのかなぁとも読み取れた。
「あの時」の選択次第では、現世でも結ばれていたかもしれないイニョン。
しかし、ほんの少しの選択の違いで現世のイニョンはまた異なる形で紡がれていく。
その選択にほろ苦さを感じつつ、来世でのイニョンにまた想いを馳せることのできる大人のラブストーリー。
あまり観たことないジャンルの作品で、よきでした。


【ストーリー】

ソウルに暮らす12歳の少女ノラ(グレタ・リー)と少年ヘソン(ユ・テオ)。
ふたりはお互いに恋心を抱いていたが、ノラの海外移住により離れ離れになってしまう。
12年後、24歳になり、ニューヨークとソウルでそれぞれの人生を歩んでいたふたりは、オンラインで再会を果たし、お互いを想いながらもすれ違ってしまう。
そして更に12年後の36歳、ノラは作家のアーサーと結婚していた。
ヘソンはそのことを知りながらも、ノラに会うためにニューヨークを訪れる。
24年ぶりにやっとめぐり逢えた再会のとき。
ふたりが選ぶ、運命とはーー。


【キャスト・スタッフ】

*監督:セリーヌ・ソン
韓国出身🇰🇷
12歳の時にカナダへ移住し、劇作家として活動したのち、ドラマの脚本家として活躍し、本作にて映画監督デビュー🌟
デビュー作ながら全国の映画祭で数多の賞にノミネートされていて、2作目の製作も決まっているそうで、今後がますます楽しみです✨
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