スピルバーグによって監督された1985年版作品のリメイク作品。
スピルバーグ自身も製作に名を連ねた他、1985年版でソフィアを演じたオプラ・ウィンフリーも製作に加わり、また原作者のアリス・ウォーカーも製作総指揮に加えて、女性目線・黒人目線も丁寧に汲み取り、まさしく最強の布陣で製作された本作…最高でした。
最大の魅力は、1985年版では端折られていた各キャラクターの心の機微が、本作では丁寧に描かれていたこと。
オリジナル作品ではかなり駆け足で展開されたことで感情がついていかなかったシーンに、とても丁寧に解説が加えられているので、より心に響く展開になってた。
心優しいセリーが、ハーポになぜ「ソフィアを殴れ」と言ってしまったのか。
ソフィアが、なぜセリーにあれほど感謝していたのか。
シュグが、なぜセリーを労り協力を惜しまなかったのか。
そしてなにより、ミスターのセリーへの想いがどのように変化し、そしてセリーもまたミスターへの想いをどう変化させたのか。
オリジナルでは語られなかったそれぞれの心情が、ミュージカル版となったことで高々と歌い上げられ、心が締め付けられる。
差別や暴力、抑圧など、目の前の人の心を殺す手段が当たり前に取られていた時代。
ミスターの台詞にもあるように、黒人で、醜くて、女性で、貧しいことが、四重苦のように語られ、多様性の欠片もなかった時代。
子供を奪われ、愛すら全うできなかった時代に、どれほど心を殺されても、「私はには愛がある。未来がある」と語るセリーは本当に美しかった。
あまりの辛さに心を投げ出そうとしていたセリーに対して、身を挺して彼女の心の灯火を守ったシュグやソフィアの愛も、本当に美しかった。
そしてその愛を、自らを蔑み殴った相手にまで、赦しという形で向けられるセリーは、誰よりも輝いていた。
「私には家族がいない」「私を愛してくれた唯一の人はいなくなった」と、唇を噛み締めながら、自らが孤独であることを話したセリー。
けれど彼女は孤独に耐えながら、目の前の相手に真摯に愛を伝え続けた。
その愛に恩返しをしようと集まった人々の優しさが連鎖し、セリーが産み落とした小さな命との再会に導かれた。
「家族はいない」と言っていたセリーが、泣きながら子孫を抱きしめる姿には、涙が止まらない。
何があっても、前を向いて希望を失わずに歩み続けることの大切さが込められた名作だった。
【ストーリー】
横暴な父に虐待され、10代で望まぬ結婚を強いられた女性セリー(ファンテイジア・バリーノ)、
唯一の心の支えである妹とも離れ離れになり、不遇な日々を過ごしていた。
そんな中、型破りな生き方の女性たちとの出会いや交流を通して自分の価値に目覚めたセリーは、不屈の精神で自らの人生を切り拓いていく。
【キャスト・スタッフ】
＊監督：ブリッツ・バザウーレ
ガーナ出身🇬🇭
ミュージシャン、アーティストとしても活躍する一方、2019年には『コジョーの埋葬』で映画監督デビュー🌟
ビヨンセとタッグを組んだビジュアル・アルバム「ブラック・イズ・キング」(20)ではグラミー賞にノミネートされています✨
＊セリー：ファンテイジア・バリーノ
アメリカ出身🇺🇸
2004年に「アメリカン・アイドル」で脚光を浴び、R&Bシンガーとして活躍。
2011年の「Bittersweet」ではグラミー賞を受賞しています🏆
また2007年から2008年にかけてブロードウェイの『カラーパープル』でセリーを演じており、映画出演は本作が初めてのようです✨
＊シュグ：タラジ・P・ヘンソン
アメリカ出身🇺🇸
1997年にTVドラマへの出演でキャリアをスタートさせ、2000年に『サタン・スクール/美しき悪魔』で映画デビュー🌟
2005年の『ハッスル&フロウ』で注目を集め、かつ劇中歌「It's Hard Out Here for a Pimp」で歌手デビューを果たしています✨
2008年の『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』ではアカデミー助演女優賞にノミネートされました🏆
その他の出演作は『ベストキッド』『ドリーム』『ミニオンズ フィーバー』など。
＊ソフィア：ダニエル・ブルックス
アメリカ出身🇺🇸
2012年にTV映画でキャリアをスタートさせ、2013 年にNetflix制作のTVシリーズ『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』に出演して知名度を上げ、2014年頃から映画出演も始めています✨
またジェームズ・ガン率いる新DCEUのTVシリーズ『ピースメイカー』にも出演しています。
＊ミスター：コールマン・ドミンゴ
アメリカ出身🇺🇸
1995年に『クリスマス・ボックス2 -愛は時を越えて-』で映画デビュー🌟
黒人をテーマにした良作にたくさん出演していて、主な出演作は『リンカーン』『大統領の執事の涙』『グローリー/明日への行進』『キャンディマン』など。
また2015年から『ウォーキング・デッド』のスピンオフである『フィアー・ザ・ウォーキング・デッド』にも出演しています✨
＊ネティ：ハリー・ベイリー
『リトル・マーメイド』でみりぺでぃあ記載済。
