まるちよ

X エックスのまるちよのレビュー・感想・評価

X エックス(2022年製作の映画)
2.2
人里離れた農場でポルノ映画を撮影するために訪れた一行がイカれた老夫婦に虐殺される話。

1979年テキサス、暑い季節、人気の無い農場、というだけでテキサス・チェーンソーの空気が漂って舞台としてはいい感じ。襲ってくる側が老夫婦という点以外は特に目新しい要素は無く、良く言えば伝統的なスラッシャー。悪く言えばありきたりなホラー映画。
グロ描写はそこまでぶっ飛んでなく、グロよりは色気づいた婆ちゃんの絡みが生理的にしんどい。
爺ちゃんはこれ系映画にありがちなイカれ具合だから安心して見てられるんだけど、婆ちゃんのアプローチは今まで無かった方向で嫌悪感がすごかった。
そもそも今作の過去を描く「パール」を見ているのと見ていないのじゃ見方が変わってくるので、X単体で考えるとイマイチ。
どうしてこの老夫婦こんなにイカれてるの?というか、婆ちゃんどうしてそんなムラついてるの?はパールを見て初めて繋がってくる。

スラッシャーだからバリエーション豊かに殺しをするんだけど、「こりゃすげえや!」となるパターンは無かった。
ありきたりな農場っていう設定だから特殊なギミックも無いし、しょうがないとは思うけどなんとも中途半端な印象。
なにより、風前の灯である老夫婦が殺す側だから基本的に被害者側がすっごい間抜けに「殺されてあげてる」といった感じ。
この物語運びならもっと殺される側の人数増やしてお祭りにして欲しかった。

冒頭で警察が農家に踏み込んで何かを見て驚くシーンから始まり、期待を持たせる割には内容は至ってスローでソフト。
単体でこれを観るならリメイク版悪魔のいけにえ見たほうが満足感高い。

ただ、良い点として「ウェンズデー」のジェナ・オルテガが出演してる。
役どころとしてはただ殺されるだけの賑やかしだけど、ウェンズデーより後の出演でコテコテのスラッシャーに出てる(A24スタジオっていうブランドだけど)のは根性があって気に入った。

とにもかくにも3部作の一発目がこれ、ってのは悪手だったんじゃないかと思った。
この老夫婦の過去に何があったのか!?と疑問に思うほどの異常さは無く、この映画単体でB級スラッシャーとして完成しているのはある意味残念。

微妙にグロもあるから万人向けでも無いし、なんとも中途半端な印象を持った映画だった。
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