タスマニア

マイ・ブロークン・マリコのタスマニアのレビュー・感想・評価

マイ・ブロークン・マリコ(2022年製作の映画)
3.5
2022年94本目。

85分のボリュームは非常に見やすい。本当にありがたい。
描きたい内容に対して、やたら長めにされると辛いので。

冒頭の数分ぐらいで「キャラクターに対して、永野芽郁と奈緒はそれぞれミスキャストじゃないか?」って感じた印象を、じっくり覆してくれた。

永野芽郁が汚い言葉使ってタバコ吸う姿って、全然似合わない笑
本人から "育ちの良さ" や "愛されて育った感" がビシビシと出てるので、やさぐれる根拠が見つからないんだよな。
そんな感じで、キャラクターに入り込めなかった中、包丁を構えてかますシーンに痺れた。
「そんな声色の引き出しあったの?」って思うぐらい、見たことのない姿と声で、"怒り" が追いついてきて、すごかった・・・。

そもそも、シイノは表面上はやさぐれてる感じだけど、根底は愛情深い人だったように思えたので、回り回って永野芽郁にハマってる気もする。
原作見てないから、キャラクターの深掘りについては簡単には言及できないんだけど。

個人的に、バスの中からJKに手を振るシーンと、電車の中からマキオに手を振るシーンが好き。
あそこに、シイノの可愛げが見え隠れしたから。

あと、マリコ(と、マリコを演じる奈緒)が、面倒臭くて大変そうだけど、破茶滅茶に可愛いんだよなぁ。あれは沼だ。
リスカは普通に痛そうだし、血も苦手だから、ご遠慮願いたいけど。

序盤のマリコの "か弱い" イメージが、「普通のタイプの奈緒だ」ってちょっとガックリしたんだけど、「マイ・ブロークン・マリコ」の姿が見えてくるに従って、「奈緒が演じるべき!!」ってなってきた。
多分、自分は「あなたの番です」の尾野ちゃんが好きすぎるからだと思うけど、こういう "何かに、とてつもなく飢えてる、クレイジーな奈緒" が見たいんだと思った。

シイノにとっても、マリコにとっても、互いが互いにかけがえなのない存在であることはバシバシ伝わった。
その上で、本当に「シイノにはマリコしかいなかったの?」は純粋な疑問だった。
他の友達も恋人の存在も現れない。シイノのキャラクターとしての魅力を考えると、結構不思議。
彼女は自らその道を選んでたりするのかな。
「自分にはマリコしかいない」と。
それは友愛なのか、恋愛なのか。
そこをハッキリ描くことは、最後の手紙の内容を明かすぐらいナンセンスであり、二人にしかわからないことだから、二人だけのもの。

マキオが言ってた「もう会えない人に会うためには、生き続けるしかない」みたいなセリフ良いな。
この世にいないけど、会いたい人に会う時は「私もすぐにそっちに行くから」と自ら命を絶つ選択肢を選ぶ発想が至って自然な気がする。
そこに対しての、マキオのアイディアは面白い。

あと、本編に関係ないけど、優しめの役柄の吉田羊ありがたい。
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