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マイ・ブロークン・マリコのmのレビュー・感想・評価

マイ・ブロークン・マリコ(2022年製作の映画)
4.6
何よりも大切なものを失って、自暴自棄になって全てめちゃくちゃにして捨ててしまいたくなっても、現実は怒りも悲しみも飲み込んで、食べて寝て働いてただ生きていくしかない。それがよくわかる作品だった。
マリコに向けられる、男性からの悪意ある暴力にシイちゃん1人で立ち向かうのは難しくて、それでもシイちゃんなりにどうにもならない現実の中で、マリコを救おうとしてきた。その全てが無駄になってしまったような無力感、マリコをそこまでに追い込んでしまった加害者たちへの強い恨み、一番辛い時に自分を頼ってくれなかったマリコへの怒り、色々な感情が見えて苦しかった。シイちゃんにとってマリコは重荷でもあり、生きる糧でもあった。2人の関係は共依存的で歪んでいるけど、お互いがその歪んだ愛に救われているなら、それが正しいか間違ってるかなんてどうでも良かった。
「君は永遠にそいつらより若い」でも、奈緒さんが暴力を受ける役だったのでどうしても重ねてしまった。マリコを救おうとするシイちゃんや、イノギさんを救おうとするホリガイのような人がいることが救いだけど、彼女たちも傷ついた友達をケアして一緒に立ち向かわなくてはならないという意味では犠牲者であり、周りにもっと気づいて助けようとしてくれる人がいたらよかったなと切に思う。マリコの依存先はシイちゃんか下心しかない男だけっていうのが辛い。アザや傷を毎日増やしてくるマリコに寄り添ってくれる大人はいなかったのか、シイちゃんだけで戦わなくていいように、支援が必要なのに。
奈緒さんはもちろん永野芽郁ちゃんの演技が良すぎたし、子役2人の存在感が抜群だった。
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