きねぼっち

コール・ジェーン ー女性たちの秘密の電話ーのきねぼっちのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

テーマは重いが、内容は軽快で面白かった!
あと、60年代描写が気合入っているのがすばらしかった!!

妊娠中絶の是非はともかく、それが生きるために必要な女性がいるにもかかわらず法で禁止されているのが問題なのだ、という割り切った姿勢で作られていると勝手に推測。

なので、ストーリーはあまり陰鬱にならず、陰キャもおらず、少々のコミカルっぽさもあり、みなシスターフッドを行動原理としていて、さわやかな感じ。
非合法活動なので軽いサスペンス感もあるが、作中では強度の緊張感は出さないように配慮されているっぽい。
それゆえか、途中ですごい葛藤もなく、ご都合主義もあってとんとん拍子に進むストーリーは平板な印象もあるかな~

にしても、もともと組織のボス(シガニー・ウィーバー)は母体の安全第一に考えてヤミ医者を使っていたのに、主人公が技術を習得すると知るや、さっさと医者を解雇、主人公一人にオペを全面依存させるのはちょっと違和感ありすぎだったな。

超慎重派のボスというキャラが崩壊することにもなるし、事実そこからボスのキャラがなんかヘンになったし、そこはもっと考えたほうがよかったと思うが、あまりメンバー間の対立を描きたくなかったんかもな。
ちょっとボスとモメたのも黒人メンバーだったりして、普遍性を持たせるためにテンプレ描写を導入した結果、ペラくなってしまってる個所はやや残念!

良くも悪くもエンタメとして消費できてしまうので、テーマ的にもっと重く、暗く、陰惨にしないと満足できない人もいるかもしれない。
しかし、個人的にはメッセージ性が抑えられているので、男でごめんなさい、みたいな卑屈な気持ちにさせられなくてよかった!

余談。

確かに、妊娠って女性だけに負担がかかって不公平の極致ではあるな。
結局、男女を真に平等にするには、身体による性差で生じる社会的な役割の差異をなくしていくしかないと勝手に想像。
要は、女性が妊娠しなくなれば良いわけで、将来的に工場的な場所で赤ん坊を生産するといった方策がとられる可能性もあるかもしれんね。
で、子育てもシロートがやるとだいたい悲惨なことになるから、養成されたプロフェッショナルが子育てするとかね。
しかし、とうとう子供作ることが自慢にならない時代が来るとは、まさに隔世の感!

そういえば、組織のスローガンで「全国の女性よ、団結せよ!」ってあったけど、共産主義のスローガンをもじってるやん。
共産主義って、自国を天国にしようとして地獄にしてしまってる感あるけど、彼女らの活動が正しいかは定かではない、という客観的な視点も入れてスローガン作ってたとしたら、けっこう強烈な皮肉だな!
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