きねぼっち

天使の復讐のきねぼっちのネタバレレビュー・内容・結末

天使の復讐(1981年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

鮮烈なヴィジュアルが素晴らしかった!
地味娘から美貌の殺人鬼へと激変するキャラを完璧に表現しているゾー・ルンドが素晴らしい!!
特にラストの尼僧コスプレで銃をぶっ放すのはかっこよすぎ!!!

もっとも、ラストの殺戮シーンはスローモーションが過ぎてなんか間抜けな感じになっちゃってるけど・・・「ゼイ・コール・ハー・ワン・アイ」もそうだったけど、イチオシのシーンでスローモーションにした結果、シュール感や滑稽度がマシマシになってまうの、なんなんだろうね?
個人的な考察では、音もスローモーにしてしまうのがダメ! と勝手に判断。

それはそれとして、本作はフェミニズム思想を背景にしておきながら背教的フェティッシュなエロ素にも満ち満ちており、その矛盾がラストのビザールな仮装パーティにおいて、性欲ギンギンおやじに美人シスターが残酷な神罰を下すというボンデージSM的なクライマックスを招来するとともに、威勢のいい女性の逆襲によって幕を下ろす結末をもあらかじめ用意していると考えざるを得ない。

つまり女性の恨みつらみを代弁するようなストーリーのわりに映像で微エロ映画やってるやん、という本作への女性観点からの批判をも内包しているのではなかろうか。

80年代のカオスなNYが生み出した時代のあだ花ではあるが、それだけでもないのが、本作をカルト作にしていると勝手に愚考!

余談です。

にしても、本作を見たら当然主演女優のファンになるわけだが、ウィキペディアで調べたら、もうお亡くなりになっているとか・・・で、主演女優の夫が作成した追悼ウェブサイトが、もう出生証明書から死亡診断書まで、女優がこの世に残した実績や痕跡のありとあらゆるものを収集、掲載しているので、その執念にびっくり!

で、故人の追悼集会を主催したのが、夫とリチャード・ヘル。
え!? NYパンクムーブメントをけん引し、ピストルズのファッションに影響を与えたリチャード・ヘル?
この人も将来を嘱望されながらドラッグで身を持ち崩してあまり実績を作れなかった残念な人。
「ブランク・ジェネレーション」っていう自身の持ち歌と同じ題名の映画にも出てたけど、映画自体はどうってことなかったような記憶。
まーNYのアーティスト界隈ってことでつながりがあったんでしょうかね。
そういえば本作の音楽ってノーウェイブっぽさがあったりして、監督もそれ系のバンドやってたらしく、なんか納得!
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