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僕らの世界が交わるまでのwoosのレビュー・感想・評価

僕らの世界が交わるまで(2022年製作の映画)
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kino cinema新宿を鑑賞。
2024年新作劇場鑑賞7作目。
客席は9割くらい。
テーマ「惑」

[全体として]
ちょっと気になっていたがfilmarksのスコアはあまり高くない模様。個人的には結構面白かった。
お話的には、DV等で問題がある家庭を支援する施設を運営する母親エブリンと、高校生でyoutubeで自作の音楽を配信している息子ジギーが主人公で、エブリンは自分の言うことを聞かない人には割と冷淡な言動をとるし、息子は中二病の真っ最中で、母親も父親もジギーに何か言うのを諦めている様子。ある日ジギーは同級生の好きな女の子が政治的話題に興味があることがわかり、彼女の世界に入り込もうとするのだが。。みたいな話。

[良かったところ]
主人公のジギーは、割とよくいる10代という感じですごく薄っぺら。でも何かを表現しようとする多くの人がその道を通って大人になっていると思うので、それが悪いことだとは思わないが、見ていて共感製羞恥で悶絶しそうになる。
自分のフォロワー数しか人に自慢できるものがないし、唯一友達と思われる相手にも、ものすごく冷淡な態度を取るし、人間的には全くダメな奴だなーと言う印象だが、まあこれからきっといろんな人と出会っていろんな経験をしてまともな人間になれたらいいねという、まだ白紙の人間という感じ。
一方母親のエブリンはかなり変わった人で、いつも冷静なようでいてあまり人が傷つくこととか考えたりしていない様子。なぜあの施設を作ろうと思ったのか?見ているとだんだん分かってくる。
ようは自分の考えを押し付けてしまう人なんじゃないかと思う。「あなた困ってるでしょ?」「こうして欲しいんでしょ?」というのが垣間見える。だからそれに従わない息子にはあまり関心がいかなくなっているし、そういう相手には皮肉めいた話し方をする。
一方理想的な息子像のカイルには過干渉したりと、本当に自分勝手だと思う。
だからけしていい人ではないし、ただ話しかけただけの従業員に「私クビですか?」と聞かれたりする。
このようにこの映画は人物描写が非常に細かく描かれていると思うし。長編初監督でこの出来なら結構すごいんじゃないかと思った。

[気になったところ]
この映画に出てくる登場人物がどの人も好きになれない人々なので、そういった意味でこの映画の評価が低くなってしまったのかもしれない。いいところがあまりクローズアップされていないので、こんな若干問題がある人だけどこういういいところもあるよという描写があれば彼らを好きになれたかもしれない。

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割といい映画だったと思います。
ジェシー・アイゼンバーグ監督の次回作に期待します。
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