うみぼうず

ザ・ホエールのうみぼうずのレビュー・感想・評価

ザ・ホエール(2022年製作の映画)
3.5
血圧238は衝撃的な数値よね…。
最初この映画をスナック菓子食べながら観ていたけど、途中から手が止まり多少の空腹でも我慢しようと思いました。

肥満症の男性が余命僅かで娘と向き合う…という粗筋だけ把握して鑑賞したけど、ヒューマンドラマ的な要素以上に感じたのは宗教的な魂の救済や贖罪のようなテーマ。登場人物は少ないながら重厚な演技でリアリティがあり、そして全員が何かしら後暗い事を抱えている。
みんなが救われる訳では無いところも、救いを狙った行動でないが救われるなども人生に通ずるような展開だと思う。

エリーは本当に邪悪なのだろうか。確かに終始腹を立たせられたが…。気持ちは分からなくはないが、父親に捨てられたという過去があるから正当化されるものでもない。どちらかというとエリーの方が得体の知れない『鯨』のように感じながら観ていた。

正直に書けと言うが、正直に書く、生きることは魂の救済なのか?正直だったからアランは死んだのでは?その背徳感、重荷を背負って生きることが人間なのか?『鯨』には様々な意味が込められていそうで、人間と鯨を隔てるものは実に曖昧なのではないか。『白鯨』を改めて読もうと思う。

最も感情移入できたのはリズかなぁ。一番行動原理が理解しやすく、まさにボランティアで動いてくれている根底にある愛情を優しく感じる。「下で待っている」というセリフは切ないなぁ。
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