うみぼうず

裁かるゝジャンヌのうみぼうずのレビュー・感想・評価

裁かるゝジャンヌ(1928年製作の映画)
4.5
ドキュメンタリーを観たかのようなリアリティと没入感。途中からフィクションということを忘れて、本当のジャンヌ・ダルクがいるかのように思えてくる。

裁判のセリフは実際の裁判記録から全て持ってきているようで、短い質問を投げかけながら段々とジャンヌを追い込む教会側のやり口がまざまざと現代に再現される。
一方でジャンヌがある種 神性を帯びたかのような超越的な応対と態度は、神の存在とジャンヌの正統性を示すかのよう。主演の方の細かな表情、物憂げな視線悲しげな視線、目の動きなどものすごい。

審問官は下からの仰り画が多く、言葉を選ばず言えば凄く醜く描写されていると思う。下卑た笑いや嘲りの表情が、100年前の映画にも関わらず繊細に映されていて、観ている側の心象はジャンヌに向いていくよね。
ノーメイクとの事で、リアリティ出しながら、植物や恐竜を思わせるような乾いた皮膚の感じをリアルよりもリアリティを持って白黒映画で出せるのが凄いなと思う。

伴奏も雰囲気を作り上げていて、これは劇場で観て良かったです。
うみぼうず

うみぼうず