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ハッチング―孵化―のもじゃのレビュー・感想・評価

ハッチング―孵化―(2022年製作の映画)
4.5
「私が育てたの」

フィンランド。幸せ家族の娘ティンヤが拾った卵を孵したら怪物が産まれた。彼女と怪物はどうなる?

少女の不安がモンスターを孵し育てる。嘔吐物を食べるのが象徴的。消化できない想いが恐ろしいものを育てるのだ。面白かったのは成長するほどに美しく姿を変えていくクリーチャー。ティンヤが抑圧してきた事をストレートに凶行にしてしまう。
明るい画面の「ヘレディタリー」を期待して見たけど、まさにそんな感じ。ティンヤの置かれた境遇は「パンズラビリンス」にもよく似ている。逃れようのない家庭の中のストレスがつらい。ただ愛されたい子供なのに、居場所がない。優しいのは母のボーイフレンドだけっていう悲しさ。

主人公の少女ティンヤ役の娘は素晴らしい2役演技。母親が彼氏のことを話しだしたときの表情の変化!子供の顔なのに子供が意図して演技してるのが信じられない出来。凄いので北欧からワールドメジャーな作品にも出て欲しい。

90分を割る短い作品ながら必要十分な充実で、受け取るものは大きい。ティンヤの辛さを見せる場面が殆どなのでこちらも辛い。終盤母親ブチ切れからはずっと鳥肌が立っていた。本当の自分が消えた後には何が残ったのか…

美少女ゲロというフェテイシズムを突く作品。
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