silent

ももいろクローバーZ アイドルの向こう側のsilentのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

配信で観た後、劇場にも足を
運んだ。

やはりスクリーンで観た方が
感慨深い。
配信では聞き取れなかった言葉も
聞けて、僅かな表情の変化もよく
見えた。

全体的にはぼんやりとした印象の
ドキュメンタリーだが、これが
今の彼女達のリアル、とも取れる。

10代の時と比べて声が低くなり、
ボリュームも抑えられているが
基本的なスタンスは変わっていない
ようだ。
「自分達もモノノフさんも一緒に
楽しい事をして、みんなに笑顔を
届けたい」という強い思い。

その一方で、幼い時のように勢い
だけで仕事をしていた時と
違い、「上には上がいる」という
現実を受け入れ、「大きなステージ
に自分達が立ってもいいのか?」
「こんな自分達でも応援してくれる
のか?」という不安を覗かせる。

また、結婚、出産、育児という
やがて来るかもしれない
ライフイベントに実感を持てない
まま、不安と恐れを感じてはいる
ものの、でも実際にはどうしたら
いいのか分からないと右往左往し
ている心情もよく伝わった。

振り付けのAnna先生が仰ったように
「(彼女達が)おばあちゃんに
なっても、みんなのわちゃわちゃが
見たい」は私も同意見だ。

5年後、10年後。
彼女達がどんな風になっているか?
もしかしたら、グループが解散して
いる可能性もある。
しかし、いかなる理由や経緯は
あっても彼女達の決断を尊重したい。

それは、スタッフさんを含めた
ももクロが私達モノノフを蔑ろに
する事はないだろう、という信頼感。
どんなアクシデントであっても
厳しい風雪にさらされても、
彼女達はそれらを乗り越えてきた。
敢えて「黙して語らず」を貫き、
「私達、物凄く頑張ってます!」
アピールはしないけど、
少しずつではあるが、歌に演技に
バラエティに、その結果を出して
きている。

利己的に考えれば他にも方法は
あっただろうが、彼女達は
しなかった。
ナレーションで語られたように
それは愚直なやり方だったかも
しれない。
でも、私はそれこそがメンバーの
モノノフに対する
『ももクロとしての誠意』だったと
受け取りたい。

配信には無かったエンドロール。
奇しくも私が一番好きな曲
『ロードショー』が流れる。

〜物語はさらに佳境へと突入
いたします
さあ ここからキミのその手で
トビラ開くんだ〜

涙が出た。

先のことは分からない。
どこか自信なさげな発言も
あって心配にはなるが、
でも、自分達のその手で未来を
切り拓いてほしい。
アラサーとは言えど
若くて体力もあり、自由に
使える時間がある、今が一番有意義な
時なのではないか?
私達モノノフのことばかりでなく、
みんな一人ひとりの幸せを
手に入れてほしい。

なぜなら、私は
「皆んな(メンバー)が幸せで
笑顔でいてくれないと、こっちも
元気になれない」と思っているから。

どちらかが幸せで、どちらかが
不幸せ、なんてことは無いように。

2022.8.21
3回目の鑑賞
以前公開されたものとは違い
少しだけ
マイナーチェンジしたような今作。

今後に対する迷いや不安よりも
彼女たちの決意がより一層
滲み出ていた気がする。

男性では40代になっても
アイドルを名乗ってる人もいるが、
女性ではなかなかいない。
ある時期になると卒業や解散、
女優や歌手など、別の方向へ
舵を取るパターンが多い。

結婚は成人していたら
いつでも出来るが
出産はいつでも、というわけには
いかない。育児も相当大変である。
体力があるうちに、というのは
あながち間違いではないのだ。

でも、彼女たちが今後どんな選択を
しようとも、私はあるがままの
彼女たちを応援していきたいと思う。

彼女たちの明るさや笑顔で、私たちが
元気や勇気をもらい、私たちの
楽しそうな顔が彼女たちの
励みになっていてくれていたら、
これほど嬉しいものはないだろう。

そして、本人たちはさほど
気にしてはいないようだが、
個人の想像として、人が同じ職場
同じメンツで働き続ける…
これは字面以上に、大変なことである。
彼女たちにも多少のイザコザは
あるかもしれないが、10年近く
応援してきて険悪なムードが漂って
いると感じたことはあまり無い。
あるアーティストが、彼女たちを
「谷底から笑顔でよじ登ってくる」
というような表現をしたらしいが、
言い得て妙だと思う。
自分も周りのスタッフさんも
私たちモノノフも楽しめるように
自然な笑顔を出させるようにする。
狙ってそうしている訳では無いと
思うが、まるで呼吸をするが如く、
そうした空気感を出す。
故意ではない、あるがままの
彼女たちの笑顔が
連鎖していくのである。
それが結果的に自分たちや
スタッフさんたちが仕事を全うしやすい
環境を作り、良い感じで肩の力が
抜けたライブや番組が、見る人の
心をほぐしていく。
これを約14年も、ごく自然に
行い続けているのである。

通常ではなかなか出来ないことだと
思う。
やはり、彼女たちは良い意味で
【人たらしの天才】なのだろう。

そんなメンバーが、これからも
あらゆる挑戦をしていく姿を
そっと応援していきたい。
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