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キンキーブーツのsilentのネタバレレビュー・内容・結末

キンキーブーツ(2018年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

昨年の3月に劇場で観て以来、久々に
WOWOWオンデマンドで観た。

奇しくもコロナの脅威に晒される前、
ブロードウェイで上演された舞台の
まるでライブビューイングのような
映画。
私も時折映る会場のお客さんのように
歓声を上げたり、惜しみない拍手や
コールアンドレスポンスを
してみたかった

でも、ただ楽しいだけではない。
チャーリーとローラという、一見
何の接点も無さそうな2人が
同じような悲しみと苦しさを抱えた
まま大人になり、
「キンキーブーツを作る」という
同じ夢に向かって進んでいく。

LGBTQだけではない、
所謂マイノリティとされ、
そこは可となく漂う疎外感の中で
生きづらさを感じている人たちを
ローラは毒を吐きながらも、暖かく
受け止めてくれるような気がする。

やがて、その大きな愛で包まれた
人たちが、『自分を受け入れ、どんな
人も受け入れる』ことで
『自分だけではなく世界を変える』、
そんな希望を感じさせる作品だった。

私はこの映画を観る前に、
【キンキーブーツ・ジャパン】の
トリビュート映像を見ていた。
日本でローラを演じた俳優への
哀悼で、映像化されてない舞台の
一端を知る事が出来た。
このトリビュート映像が今作品を
順撮りしているようで、単なる
感傷に終わらず、まるで『取説』の
ような役目も果たしてくれている。

舞台を一度も観ていないのにも
関わらず、何の迷いもなく
キンキーブーツの世界観に浸れたのは
このトリビュート映像のおかげである
と言っても過言ではない。

話が逸れたが、さすが世界各国で
上演されているのも頷ける名作。
ローラとチャーリーを演じた2人の
歌唱力、というか声量が凄まじく、
末席に座っていても、そのメッセージは
しっかりと届いていたであろう。

WOWOWオンデマンドで、繰り返し
また観られるようなので、
他者との軋轢を感じることがあったら、
この作品を改めて観たいと思う。
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