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20歳のソウルのsilentのネタバレレビュー・内容・結末

20歳のソウル(2022年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

Twitterで 凄く評判が良かったこと、
先日、大団円を迎えた
ドラマ・ナンバMG5の伍代役が
良かった神尾楓珠くんを、違う作品で
観てみたかったので劇場に足を運んだ。

正直「そんなに泣かないだろう」と
思っていたのに、後半はずっと涙が
止まらなかった。

実在した若者の、短くも濃い人生。
切磋琢磨し合える仲間、
厳しいけど、時には
自分にとって光となる道筋を
指し示してくれた顧問、
子供の頑張りを影日向に支え続けた
母親。そんな母親の目の届かない
ところでは恋人が明るく支えていた。

彼は精一杯生き切ることで、
周りの人達に元気や勇気を与え続けた。
そして、その死後も
彼の優しさや温かさが滲み出て
くるような、市船ソウルなどの
作品たちは、母校の後輩たちに
受け継がれ、
時に彼らを励まして続けて
いるのであろう。

また、本当は規範外な話なのに、
大義くんと仲間の別れを目いっぱいの
サービスで応えてくれた、
心意気のある葬儀屋さん。
一方、時を経て日本全国に映画と
いう形で、「生き切る」ことの大切さを
大義くんに教えてもらった私たち。

劇中のセリフを借りるなら
「死も生の一部」である。

実際に会ったことある人はもちろん、
会ったことがなかった葬儀屋さんや
高校の後輩たちにも、
今となっては、私自身
彼に会うことも叶わないけれど、

「大義くん、あなたは今もずっと
誰かの心の中で生きている」

そう、強く感じずにはいられなかった。

そして、
吹奏楽部顧問役の佐藤浩市さんと
母親役の尾野真千子さんの演技は
絶賛ものだったと言っても良い。

日頃は手厳しいのに、教え子の死に
涙する顧問の先生や、
大手術を終えて、帰宅した息子が
奏でるピアノを聴いて静かに
涙を流す母親。

場面としては一瞬かもしれないが、
そんな場面にそれぞれ役者としての
キャリアと実力が
凝縮して現れていたように思う。
ごく自然な表現のようで
その人の心の奥底をのぞかせるような
演技はお見事である。

気まぐれに、あまり期待をせず
劇場に行ってしまったのだが、
観に行って本当に良かったと思う。

どの世代が観てもいいとは思うが、
出来ることなら、大義くんと同世代の
若者に観てほしい。

「生きてるか?生きながら死んで
いるか?いや、今この瞬間を生きようと
しているか?」

ある歌詞の一説だが、この作品で
『生き切る』ことの意味を考えてほしい。

引用:ももいろクローバーZ
Survival of the Fittest -interlude
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