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MEN 同じ顔の男たちのshihoのレビュー・感想・評価

MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)
3.2
PVかな?みたいなふわっとしたシーンが続くと思ってたら、途中からクレッシェンドのようにキモい男の地獄の乱れ打ちだった。

アレックス・ガーランド監督は「アナイアレイション〜全滅領域〜」好きで、今作も映像の感じはわりと好きだったけど、攻めすぎていたかな……と思う。音楽も照明もしつこかった。正直今後ガーランド監督作品が好き!と言っていく自信はなくなった。

特に最後の方は「ちょっとすまんな、ギレルモ・デル・トロ関わっとらんか?」ってくらいドロドロとグロくて好きじゃなかった。あれのせいでこの作品へのイメージがひたすら絵面のグロさ・キモさへの嫌悪感で上書きされて、真面目に現実的に色々と考える余地をも塗り潰してしまったのではないかと思った。亡き夫のくだりは良かったから、もう少し直接的な表現を避けて、上品に痛烈なメッセージを散りばめた作品にしてほしかったね。

「男は全員うっすら女を好きで、全ての女は男をうっすら嫌いである。」的な言葉を見かけたことがあるがこれは真実だと思う。嫌いというか、主成分は防衛本能+嫌悪感かな。危害を加えてくる男ばかりではないと分かっているけど、一定数そういう人種がいるので体格や力で敵わない女からするとこれは必然だ。純真な子供時代から一番性被害・セクハラに遭う10-20代を経てだんだんその気持ちが強くなるのだろう。

作品中に出てくるほどのキチ◯◯ではなくとも、日常生活で性的欲求を向けられたり、痴漢、セクハラ、威嚇、暴力、自分の思い通りにできない女にあらゆる攻撃をしてくる男にどれだけ女が嫌な思いをさせられているか、怖いと感じているか、消耗させられるか、これを観た男性に少しは伝わるといいなと思う。
ぶっちゃけこの世界を創造した存在がいるのなら、地球生物の雄雌の在り方自体あまりいい出来ではない、オスの性欲はバグだとも思う。それくらいじゃなきゃ子孫を残せないのなら、こんなにオスに偏らせていけなかった、のかもしれない。人類くらい知能と社会が進化・発展する想定がなかったのか、自然発生的なものなのかもしれないが。

女優さんは綺麗で声も良かったけど、なんかテーマと表現方法がキモ過ぎて作品全体から女優さんを通してセクハラ(というかキモさの塊を無加工でぶつけられているみたいだった)を受けているような気持ちになったのも事実。MEN役の俳優さんよくこの役やったなぁ……。結局一連の出来事がハーパーの見た幻のなのか、何が本当に起きた出来事なのか曖昧なのも消化不良。
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