きよぼん

かがみの孤城のきよぼんのレビュー・感想・評価

かがみの孤城(2022年製作の映画)
5.0
かがみの孤城は実在するのです!

異世界の城に集められた、学校にいけなくなった中学生6人。彼らの心をふさぐ「何か」を突破していく姿に、目頭が熱くなる優しい物語。

予告観たときに「なんか地味だなー」と思って劇場でみるのやめようかと思っていた作品。ほんとに浅はかだわ自分。結論からいうと見逃さなくて良かった、ド傑作で泣いた。

地味だと思った映像も、登場人物の繊細な心を描くのにすごくマッチしてる。そして物語には叙述トリック的な思い込みを使った展開があるのだけど、これもこの映像のルックが貢献している。小説が原作で、実写だと映像化が難しい作品ではないか。「アニメの魔法」がかけられている作品だ。その魔法が解けるとき、現実を生きる人に素晴らしい感動をくれるのだ。

映画オタなら「ははーん、コレはアレで、アレはこーなるな」と気がつくかもしれない。でもそんなトリックを見破るところに、この映画の価値はない。いい映画って展開は読めても「ああオレは気がついたけど、映画の中のあいつも早く気がつけ!そして、ああして、これをしろおお」って夢中になるもんなのよね。彼らの行動、言葉、一歩一歩に目が離せなくなる展開が待っている。


物語でいうと、主人公・心ちゃんをいじめる真田は卑怯すぎてフ●●ク!映画見終わった今でも怒りが治まらないわー。真田は子どもだとしても、テキトーにいじめを解決しようとする担任の先生に怒り爆発。しかし、心ちゃんに救いがあるのがよい!担任に丸め込まれず、ちゃんと言い返してくれる大人がいてくれてよかった。そして友達・萌ちゃんの存在。心ちゃんの周りに、いい大人、萌ちゃんという友達がいてくれてよかった。マジメにいろんなことに悩んでる人には人生の助けになる一本かもしれない。現実には彼らのような大人、友達には出会えないかもしれない。でも映画の中にはいてくれていて、いつでもメッセージを受け取れる。これが映画の素晴らしさのひとつだろう。

そして最後に、どうでもいい自分の思い込みを書く。

かがみの孤城は実在するのだよ!。マジでインターネットっていうのがそうなんだ。異世界ではないけれど、現実では出会えない同じ境遇の人間が出会えることができるということ。言葉を交わせるということ。ホントはこれ素晴らしいことに使えることなのだ。その昔、ネットに期待されていた事のひとつは、この映画の中で描かれたようなことでもあると思うのよね。もっと有用に使おうぜ。twitterで殴り合いはもう飽きた。
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