きよぼん

ボーはおそれているのきよぼんのレビュー・感想・評価

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
4.8
とりあえず笑っておけ(*´∀`*)めええええええっちゃ面白い!

アパートで一人暮らしをするボー(ホアキン・フェニックス)。ホームレスに追いかけ回され、言われなき騒音の苦情のメモを渡され、鍵をなくし、クレジットカードは使えなくなり、あげくの果てに母が亡くなったという連絡を受ける。

この映画、次々とおもしろいことが起きる。「おもしろい」というのは、人間心理として興味深いという意味でもあるし、おかしなヤツに襲われる怖いというスリラーやホラーでもあるし、笑えるというドタバタコメディでもある。ただし、笑いにかんしてだけは、自分のハートを削ることの代償をともなうかも。

映画「さかなのこ」の主人公が明るいのは、彼が常に「陽」の視点で世の中をみているからではないか。彼には世の悪意とかマイナスのことは目に入っちゃいない。世の中の捉え方の考え方のプログラミング違うから幸せでいられるのではないかと思った。

ボーは逆に「陰」の男である。次々とおこるトラブルは彼が引き寄せてる面もたぶんにある。彼の性格、世の中に対する見方のプログラミングがそうなっている。そのプログラミングをしたのは誰か?っていうと、母親であり、二人の関係性も興味深く描かれる。

このボーという男は特殊なのかというと、いやこれ、オレにもあるぞ、と共通点があるはずだ。偏った視点、親子関係、甘え、判断ミス、勇気が出ないこと。独身中年男には身に染みるもんがある。笑えるんだけど、その笑いは同時に自分のハートの気色悪い部分を撫でられているのと同時の笑いだ。目にうつるものだけを単純に消化しようとすると笑えるけど、意味をとらえようとすると、怖くなる。

見たくないもの、みつめたくないもの、ちゃんと考えたことのないものの上を綱渡りのように笑って歩く作品である。正面を向いていること。とりあえず面白いものをみて笑ってること大事。少しでも振り返ったり、のぞきこんだりすると、とても怖いものをみることになる。

不条理コメディときいてたけど、ちゃんと話は展開されるし、妄想と現実が入り乱れたり、超自然的なことが中心になるわけでもないので、スリラーやサスペンスが好きな人にもオススメ。

さっきtwitterの映画の公式アカウントでみたけど、アリ・アスター監督、母親を試写会に招待して一緒にみたってマジ?それが一番怖いわ(´д`)
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