ゼロ

神は見返りを求めるのゼロのレビュー・感想・評価

神は見返りを求める(2022年製作の映画)
3.8
心温まりづらいラブストーリー。

吉田恵輔監督の作品は機微な人間模様を描きますが、本作品も同様でした。題材は「YouTube」。主演は、ムロツヨシさん演じる田母神と底辺YouTuber役を演じる 岸井ゆきのさん。二人とも「良い人そう」に見えるのに、最後まで観ると登場人物が全員「嫌な奴」に見えるのは、流石です。

お話としては割とシンプルで、合コンで知り合った二人。川合優里は、YouTuberをやっているが人気はない。田母神がイベント会社に勤めているのもあり、映像の仕事を手伝う。お互いの中を深めていたとき、ある時、人気YouTuberコンビ「マイルズ」とコラボし、優里は人気YouTuberに。そこから二人の関係はギクシャクしていき、お互いのことを罵り合う関係へとなっていく…というもの。

今時っぽいのはYouTubeを使って、痴話喧嘩をするということ。別に二人は恋人関係ではないのだけれど、第三者が介入するYouTubeを通じて、揉まれていく。二人の年齢も違うから環境や価値観も違い、ズレもある。今までチヤホヤされて来なかった人が、注目を浴びるようになると、冴えない中年など気持ち悪いだけになる。

母神と同じイベント会社勤務の後輩である梅川葉のように、誰かの悪口でしかコミュニケーションを取れない奴もいるよな…などのあるあるネタを入れつつ、最後は救いようのない結末へといく。

スカッとするような話ではないし、えげつない描写があるわけではないが、「YouTube」が市民権を得ている今だからこそ刺さる物語でした。
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