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線は、僕を描くのタスマニアのレビュー・感想・評価

線は、僕を描く(2022年製作の映画)
3.5
2022年97本目。

人生もグラデーションの連続なのですね。
「何かになる」ではなく、「何かに変わっていく」と表現される台詞が登場人物の苦しみに非常に優しく寄り添っていて、一貫したテーマを表していた。
水墨画の筆で描く「線」にも濃淡のグラデーションがあり、それが陰影を表すテクニックでもある。横のグラデーション。
一本の線でも先の方になればなるほど薄くなる縦のグラデーションもある。
そして、同じ「線」でも時と共に描かれるものが変わっていく、横・縦に対して時間的なグラデーション。
霜介と千瑛が、この時間的なグラデーションを迷いながらも獲得していくお話なんですね。それって、成長じゃん。人生じゃん。尊い。
「線は、僕を描く」というタイトルに偽りなし。

シンプルに描かれる水墨画の美しさに驚いた。迫力。
あと、音楽がいいのよ。
ビジュアル上は、白と黒と、その濃淡しかないんだけど、音楽が豊かな色彩をイメージさせるような雰囲気で、色が見えるんよ。
監督も音楽も「ちはやふる」と同じだから、その印象も手伝ってか、色が見えるんよ。

清原果耶と河合優実の共演って、個人的な「若手女優ツートップ」の共演なんだけど。本当、自分得。
河合優実が普通の女の子の役演じてる!嬉しい。可愛い。
表情とか声とか、相変わらず良かった〜。

三浦友和と江口洋介と横浜流星と清原果耶が食卓囲んでるシーンすごい。
絵的に豪華だけど、丁寧な暮らし感。
江口洋介演じる西濱に結構重要なところ持って行かれた感笑

変わっていくために、まず筆を持つところから始めないと。
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