踊る猫

知られざるマリリン・モンロー 残されたテープの踊る猫のレビュー・感想・評価

3.6
渋いドキュメンタリーだ。マリリン・モンローは泣く子も黙る「世紀のセックス・シンボル」なわけだけれど、そのマリリンの死について手堅く迫ったこの作品ではマリリンをめぐる基礎情報がほとんど語られない。どんな生い立ちや修行時代を経て、どうスターになったか……ということは「ご存知のはず」ということなのだろうなと思った。そこでハードルの高さを感じるのだが、タッチとしては扇情的なタッチを排しあくまで実証的にマリリンの生き様と死について触れようとしていて、その制作態度に好感を抱く。そしてここまでして畏敬の念を以て関係者を語らせる(そして、制作者たちも確実に彼女の死に敬意を払っている)マリリンという女性に改めて興味を持つ。単に「時代と寝た」スター/アクトレスならゴマンといるだろうが、今でもここまで人を虜にするその魅力とは何だろう。聡明さ? あるいは彼女の勉強熱心な人柄? もしくは彼女が秘めていた野心? もしかすると、それは彼女にすらわからなかったのかもしれないな……と陳腐に〆てしまう。
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