Omizu

ホワイト・ホット アバクロンビー&フィッチの盛衰のOmizuのレビュー・感想・評価

3.6
『アイ・ウェイウェイは謝らない』のアリソン・クレイマン監督新作。90年代後半から00年代までティーン世代のファッションを席巻したアバクロことアバクロンビー&フィッチについてのドキュメンタリー。

単純にアバクロのことは名前を聞いたことがある程度でしかなかったのでこんな排他的な企業が人気を集めていたなんて今の感覚からすると信じられない。

rottentomatoesなどでアメリカ人の反応を見ると意外にも否定的な感想が多いようだ。ゴシップ誌の引き伸ばしでしかないこと、多様性に寄った偏った視点が批判されているようだ。

まあ単に排他性自体を売りにしたような価値観が今の時代に合わなくなっただけだと思う。

CEOは確かに若い頃はハンサムだけど、晩年の写真は明らかに整形手術のしすぎで顔が崩れている。自分の思う美を追求したいがあまり時代の変化についていけなかったんだろうね。

人種差別というよりもルッキズムの行き過ぎた事例という感じがする。もちろん店員さんが魅力的であることは大事だけど、「白人の細い美形」としたことはCEOの考えだろうし、今の時代には合わない。

モデルへの性的搾取もMetooの動きが出てきて明るみになったということでこれもまた時代だよね。当時はSNSがなかったから分からなかっただけで、当時も私たちを嫌いな人はいただろうという元社員の言葉がそのものズバリな気がする。

視点も一方的かな?ちゃんと元社員の人の視点も入ってるし偏ってるようには思えなかったけど。

確かにゴシップ誌の延長のようなつくりではあるけど、アメリカにいない我々からすると有り難かった。

うーん、やっぱり完全に人間が平等なんて夢のまた夢なのかななんて思ってしまう。ちょっと絶望的な気分になってしまったな。
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