踊る猫

ホワイト・ホット アバクロンビー&フィッチの盛衰の踊る猫のレビュー・感想・評価

4.0
多様性の重要さについて考えさせられる、なかなかいいドキュメンタリーだと思う。だが、当時を映し出した資料映像に乏しい感もあり、当時のA&Fをめぐる空気が再現されているとも思えない。よって今になって集められた膨大な情報/資料を元に過去を頭の中で組み立てながら観ないといけないという、スティーヴン・ミルハウザーの小説でも読んでいるかのような(と思うのは私ひとりで十分だが)実感を感じたのだった。排他的で差別的な戦略から、インクルージョンや多様性に配慮した戦略へ。時代のそうした移り変わりがどうした転換点からもたらされ得たものか、それについても触れられていたら膨らみが増したかなとも思い、それが残念にも思う。だが、これはいつものないものねだりということで。だが、恥を忍んで言えばこんな私でさえも「多様性に配慮するというのは実に繊細で難しい話なのだな」と思わされたことを告白しておきたい。むろん、「みんな」に配慮することが「私」の利益に繋がりうるからなのはわかっているのだけれど。
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