great兄やん

CLOSE/クロースのgreat兄やんのレビュー・感想・評価

CLOSE/クロース(2022年製作の映画)
4.7
【一言で言うと】
「”近すぎた“友情」

[あらすじ]
13歳のレオとレミは、ベルギーの地で穏やかな草花広がる風景に囲まれて、いつも一緒に過ごしていた。学校でも放課後でも常に同じ時間を共有する。大親友であるのは家族もじゅうぶんに理解している。しかし、ある時、2人の親密すぎる間柄をクラスメイトにからかわれたことで、レオはレミへの接し方に戸惑い、そっけない態度をとってしまう。そのせいで気まずい雰囲気になる中、さらに深刻な事態が起きてしまい...。

恐るべき傑作。多様性を尊重“すべき”時代に生まれてしまった悲劇的作品と言うべきか...ある意味尊重は他者を重んじる行為とは裏腹に安直な“色眼鏡”として機能してしまう残酷性があると感じましたし、余りにも切なくて瑞々しい物語に思わず胸が詰まった。なんでもっと早く観ておかなかったのだろうか。

クラスメイトの何気ない些細な“一言”やレオの些細なそっけない態度、この“些細な”物事が如何に当事者を大きく揺らがす事象となり得るのか、誰しもが目を背けたこの“領域”を今作では克明にかつ緻密に描写されており、尚且つその心情を非説明的な映像描写で汲み取らせるそのスタンスに終始目が離せなかったですね🤔...

特にその当事者たちが大人ではなく12歳半ばの子供だからこそ、レオとレミの間柄に無邪気にも土足で踏み入るあのデリカシーの無さや自分の心と素直に向き合えない不安定さなど、そういった“未熟さ”がぶつかり合う瞬間というのがとても生々しくてリアルでしたし、そんな不安定かつ危うい難役を演じたエデン・ダンブリンとグスタフ・ドゥ・ワレルの演技はまさに必見。後半にかけてのエデン少年の表情の多彩さにただただ鳥肌が立ちまくりでしたね(・・;)...

とにかく親密すぎるが故に起こってしまった残酷な“別離”に言葉を失いつつも、少年たちの心の機微を巧く捉えた演出に思わず唸ってしまう、まさに“お涙頂戴”の域を軽く超えた緻密すぎる描写の数々に驚嘆する一本でした。

全体的にも直接的な描写がなく、かといって有耶無耶ではないあの非説明的部分のさじ加減が絶妙でしたし、ロケーションやショットの美しさはもはや格別と言ってもいいほど。冒頭のレオとレミが花畑で走り回るシーンなんか完璧すぎて涙が出そうになりましたから🥲...

ただ説明的でない故モヤモヤする箇所は無きにしも非ずといった形ではあったが、心情を突き動かされる描写も圧巻で、カンヌでグランプリを獲ったのも納得の完成度。いやはや、男子の友情も遂にこのようなフェーズを迎えてしまったのか…って思いましたね🧐