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ゴールデンカムイのumisodachiのレビュー・感想・評価

ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)
3.3


アイヌ埋蔵金をめぐる攻防を描いた野田サトルによるヒット漫画の映画化第一弾。原作既読。

日露戦争で「不死身の杉元」という異名をとった杉元は金を求めて北海道に渡っていた。ある男からアイヌによる埋蔵金の話を聞いた彼は、その話に強い興味を持つ。そして、道中でアイヌの娘・アシリパと出会ったことで埋蔵金奪還を決意。しかし、埋蔵金を狙う人間は他にも複数存在していて……。

原作に極めて忠実な映画化。従って、物語の進みはかなり遅い。ほぼ「起」のみで進まないので、本格的なストーリーは次作以降に持ち越しという感じだ。

リアル冬の北海道で撮影したと思われるシーンはすべて圧巻。冬の川に飛び込むのも、雪ぞりに素手で捕まって引きずられるのも凄いし、ヒグマとの闘いの描写も非常にリアルで迫力がある。撮影そのものにかなり気合が入っているのは間違いない。戦場シーンも然り。

ただ、それだけにキャラクターとしての描写とリアリティ描写の乖離がけっこうあって。例えばアシリパの真っ白な毛皮がずーっと真っ白なままで肌もツルッツルなこととか、他のキャラクターの衣裳もまったく汚れたり擦り切れていたりしないこととか、そういった「作り物っぽさ」をどこまで許容できるかが重要かもしれない。芝居についても原作通りなので、漫画っぽいボケやセリフが沢山。玉木宏が演じる鶴見なんかは想像の2割増しで変態っぽくて私は好きだったが、リアルと漫画のチグハグな感じにはちょっと慣れが必要かな。

アイヌ文化については、ちゃんとやろうとしているのは伝わってくる。しかし、おそらくネイティブ発音とはいえないであろうアイヌ語など、正直やや引っかかる部分もあった。とはいえ、私は「アシリパに関してはアイヌの血を引くキャストでなければいけないだろう」と考えていたので、最初から斜に構えて見ていた部分はある。なのでこれに関してはバイアスがかかった見方だとも自覚している。

あとは、兎にも角にも山崎賢人の映画になっていた。肉体美を披露する山崎賢人、一切瞬きしないモードの山崎賢人、唐突に食レポを始める山崎賢人、ヒグマと戦う山崎賢人……と、ありとあらゆる活躍をする山崎賢人を堪能できるので、彼の代表作になったことは間違いないだろう。かなり頑張ってたよ!

それにしても、このペースだと10作くらい作らないと最後までいかないよね。どうするんだろう。





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