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呪詛のkeeper7のレビュー・感想・評価

呪詛(2022年製作の映画)
3.7
今台湾ホラーが熱いのか? それともたまたまなのか?何しろ良い傾向だ。

最高に怖いと今youtubeやSNSでこぞって取り上げられている本作、やはり気になったのは確か。前評判上々の「X」に裏切られ、「哭悲/THE SADNESS」では映像表現は良かったものの自分がホラー映画に求めている純粋な"怖さ"がどちらの作品にもストーリーを含め皆無だった。
流石に今回に限った事では無いが、世間の評価がいかに当てにならないかは再認識した上で本作を鑑賞。

本作はPOV形式ホラーと形容されてる方が多いが、映画「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」からの影響や白石晃士監督の「ノロイ」「カルト」と同様の手法やその根底には2ちゃんねるの実況式体験怪談などのイデオロギーを孕んでいるところからしても本作は"フェイクドキュメンタリー"(モキュメンタリーとも言うが個人的にはこの呼び方は好きじゃない)と形容するのが正解だろう。

作品の出来としては全編通して漂う不穏感や得体の知れない土着信仰の気味悪さの表現が素晴らしかった。でも怖くはないなぁ~、、
だが特筆すべきは子役の演技。天才を超えて化け物(賞賛)ではないか 笑

残念だったのは前述した「X」と同じくらい物語の中盤まで大したことが何も無く、(あるにはあるが、興味を上げる牽引力になり得てない)観る集中力を持続させるのが困難な退屈な作りだった。
加えて主人公とその関係者達がとても常人では考えられないくらい行動が無鉄砲で軽率すぎて感情移入しずらいキャラのため、作品の丁重な作りに反してリアリティが損なわれてしまっている。個人的にはもっと逃れたい意図に反してそれが叶わない感をもっと出してほしかった。

しかし、終盤からクライマックスにかけてはそれらを帳消しに出来るくらいテンポや見せ方が素晴らしく、まさしく2ちゃんねる的で恐怖演出も秀逸だった。恐怖を纏った嫌悪感を観客に抱かせるのに見事成功している。
ケヴィン・コー監督作品は本作しか観ていないためまだ分からないが、恐怖映画を良く研究している感と本作の真摯な作り、ホラーへの愛が感じられるため是非また次回こそは本当に"怖い"ホラーを撮ってほしい。

最後、主人公は目隠ししたのに何で??
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