kuu

BODIES BODIES BODIES/ボディーズ・ボディーズ・ボディーズのkuuのレビュー・感想・評価

3.1
『ボディーズ・ボディーズ・ボディーズ』
原題 Bodies Bodies Bodies
製作年 2022年。上映時間 95分。
"嵐の接近が予想される中、20代のリッチな若者たちは、人里離れた屋敷でパーティを計画する。そこで突如始まった殺人ゲーム”BODIES BODIES BODIES”によって偽りの友人関係や裏切りを暴くことになってしまい、パーティは最悪の事態へと進んでいく。
皮肉的で斬新な新感覚のフーダニットスリラー。
毎回書いてますが、フーダニットとは、whodunit、またはwhodunnit。
Who [has] done it?(誰がそれをやったか?)の口語的な省略形で、誰が犯罪を犯したのかという謎に焦点を当てた、複雑な筋書きのある推理物語を指す。
今作品は、新しいテクノロジー、進歩的な政治や若者文化の言葉、そしてZ世代のアイデンティティそのものを媒介にした、階級と特権に関する風刺と評されている。
隠喩的なレベルでは、電波が届かないということが、この映画のテーマだそうだ。
これは戒めの物語。

嵐の接近が予想される中、20代の若者たちは、森の中に佇む豪華な屋敷でパーティを計画する。久しぶりにみんなで集まり、誰の邪魔もされない自由な空間をエンジョイし、やりたい放題にハイテンションになっていく一同。
そこで夜の余興として始まった殺人ゲームBODIES BODIES BODIESだったが、これが思わぬ事態を招く。偽りの友人関係や裏切りを暴くことになってしまい、パーティは最悪の事態へと様変わりし。。。

衝撃的なオリジナル映画の公開でよく知られている映画配給会社A24作品は好き嫌い分かれることが多い。
A24は、2013年の『スプリング・ブレイカーズ』、2018年の『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』、2020年の『Zola ゾラ』など、若者文化やソーシャルメディアの探求において内容の善し悪しは別として常に先を行ってと個人的には思う。 
しかし、ハリーナ・レイン監督による『Bodies Bodies Bodies』は、これまでのA24のZ世代文化の考察の中でも先見的で痛烈な作品でした。
今作品にはスラッシャーのお膳立ては整ってて、若くてセクシーな人々が人里離れた場所に閉じ込められ、一人また一人と殺られていく。。。
とまぁこのままストレートなスラッシャームービーのようなものを予測し期待していた。
しかし、完全に意表を突かれた。
正直なところ、そこも嬉しい驚きでもあったかな。
英語に"guilty pleasure"って言葉がある。
意味は『後ろめたい喜びをもたらす物事、認めたくないが実は好きな対象、恥ずかしい趣味』とかで、これは、ハリナ・レイン監督の今作品のためにあるようなものに感じる。
そのような姿勢にもかかわらず、またそのせいもあるが楽しい時間を過ごすことができた。 
設定は先にも書いたようにスラッシャーそのもので、20代前半の友人たちが、ハリケーンが近づいている中、孤立した邸宅に一泊している。
彼らは殺人ミステリーゲームで時間をつぶすことにするが、やがて灯りが消え、危険が現実のものとなる必然的な瞬間が訪れる。。。
この使い古された前提。
しかし、レインと脚本家のサラ・デラッペは、このジャンルを主に風刺のベースとして使っており、登場人物たちは肉体的というよりむしろ言葉によって互いを傷つけ合うことに固執している。
意図的に、これらの登場人物のほとんどは、ほとんどどのような基準から見ても特権階級である。裕福というルールの例外は、唯一の非アメリカ人である地味なビー(ブルガリア出身のマリア・バカロヴァ、最近の『続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』でブレイクした)だ。
彼女几帳面さは、彼女自身の秘密を少し隠しているかもしれないが、我々は主に彼女のアウトサイダー的視点に同調する。
この脚本が即座に皮肉るんは、誰もが被害者カードを1枚か2枚隠し持っていて、自分の目的に合ったときにそれを使えるということ。
登場人物たちは、『あんたは悪い』なんて非難し合い、不安を堂々と身にまとっている。
外向的な人たちでさえ、繊細な芸術家として見られることを切望している。
アリス(レイチェル・センノット)はポッドキャストに没頭し、ビーのガールフレンドのソフィー(アマンドラ・ステンレン)は『Girls』のレナ・ダナムのキャラのように『創造的なノンフィクション』を書いている。
第二級の皮肉は、これらの登場人物の何人かが、予見できなかった形ではあるが、本当に被害者になってしまうということ。
また、女性キャストが多い中、小柄なピート・デヴィッドソン(家を所有する両親のいない不愉快なデヴィッド役)と逞しいリー・ペイス(アリスのずっと年上のティンダー・ボーイフレンド役)の2人の男性が出演しているのも偶然とは思えない。
犯人探しのプロットがどこに向かうにせよ、共演者の上にそびえ立つこの2人の姿を見れば、どちらが現実に物理的な脅威をもたらす可能性が高い人物であるかは疑いようがない。
全体的に今作品は、ソーシャル・メディアの論評のせいで、人によっては賛否両論あるかもしれないが、個人的には楽しめた。
暑いせいか、同じことを繰り返して意味のなさない感想になり🙇。
kuu

kuu