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アイアンクローのkuuのレビュー・感想・評価

アイアンクロー(2023年製作の映画)
3.9
『アイアンクロー』
原題 The Iron Claw 映倫区分 G
製作年 2023年。上映時間 132分。
劇場公開日 2024年4月5日。
日本でもジャイアント馬場やアントニオ猪木らと激闘を繰り広げ、鉄の爪=アイアンクローを得意技としたアメリカの伝説的なプロレスラー、フリッツ・フォン・エリックを父に持ち、プロレスの道を歩むことになった兄弟の実話をベースに描いたドラマ。
次男ケビン役をザック・エフロンが務め、三男デビッド役を『逆転のトライアングル』のハリス・ディキンソン、四男ケリー役を配信ドラマ『一流シェフのファミリーレストラン』で第80回ゴールデングローブ賞主演男優賞(テレビ部門ミュージカル・コメディシリーズ)を受賞したジェレミー・アレン・ホワイトがそれぞれ演じた。
米プロレス団体AEWのマクスウェル・ジェイコブ・フリードマンが製作総指揮、元WWE王者のチャボ・ゲレロ・Jr.がプロレスシーンのコーディネーターを務め、それぞれレスラー役で劇中にも登場。監督は『不都合な理想の夫婦』のショーン・ダーキン。

1980年代初頭、元AWA世界ヘビー級王者のフリッツ・フォン・エリックに育てられたケビン、デビッド、ケリー、マイクの兄弟は、父の教えに従いプロレスラーとしてデビューし、プロレス界の頂点を目指していた。
しかし、世界ヘビー級王座戦への指名を受けた三男のデビッドが、日本でのプロレスツアー中に急死したことを皮切りに、フォン・エリック家は次々と悲劇に見舞われ、いつしか『呪われた一家』と呼ばれるようになっていく。

ザック・エフロン、ジェレミー・アレン・ホワイト、モーラ・ティアニー、ホルト・マッカラニー、ハリス・ディキンソン、その他大勢の才能が出演する今作品は、製作会社A24が製作した映画としては驚くべき作品でした。
プロレス漫画の金字塔とされる『プロレススーパースター列伝』テキサスの鉄のツメと呼ばれる人気プロレスラーとして紹介されて、個人的にはタイムリーじゃ知らないが、1971年のアブドーラ・ザ・ブッチャーとの死闘は、動画配信サイトとかでみても今でも熱くなるフォン・エリック。
まず、今作品が、現代プロレスを今日の形にするのに貢献した、そのセンセーショナルなレスラー集団、フォン・エリック一家の実話に基づいているということ。
フォン・エリックの一家の物語を語るには、一家が呪われていると信じている理由を掘り下げる必要がある。
次兄ケヴィン・フォン・エリックを演じるザック・エフロンは、映画のすべてのシーンに登場する。
エフロンは、演技のトーンと幅において、全俳優の中で最も驚かされる存在でした。
最初はエフロンが木訥な印象を与えるが、やがて脚本が開き、エフロンはこのキャラで何ができるかを示すことを許される。
エフロンは映画『ベイウォッチ』(2017年)などで体格を整え始めており、観客としてはそこで初めて、平凡からボディビルダー体型への変身に気づいた。
今作品では、エフロンはほとんど見分けがつかないほど質量を増してた。
ガタイのいい子供の面影はまだ残っているが、彼の演技の大半はテストステロンとステロイドの臭いがしなくなくナイ。
エフロンはこの役に控えめで静かな激しさをもたらしている。
ショーン・ダーキンによる脚本は、少々雑な部分もあるが結構効果的でしたが、トーンの問題で苦しんでいるように感じました。
第1幕ではおちゃらけて見えるが、第2幕と第3幕ではほとんど笑いがない。
これは、実にシリアスな内容で、ショーン・ダーキン監督による演出が最も効果的なのは、メロドラマから実際のドラマに移行するときでした。
ザック・エフロンが映画の心臓だとすれば、ホルト・マッカラニーは映画の頭と云える。
フォン・エリックの家長を演じるマッカラニーは、恐ろしく不機嫌な父ちゃん。
キャスト陣の最も効果的な起用法は、フォン・エリック一家の悲劇に人間味を加えること。
彼らのストイックさにもかかわらず、彼らの痛みを感じ、そのペーソスは本物やと感じた。
ミッキー・ローク主演の『レスラー』(2008)とかフローレンス・ピュー主演の『ファイティング・ファミリー』(2019)と比較せずにはいられないかな。
『レスラー』でロークは最初で唯一のアカデミー主演男優賞にノミネートされた。
しかし、もっと繊細なビジョンがあれば、今作品そうなっていたかもしれない。
今作品の観客(地方に暮らしいつも映画館はガラガラだけど今日は意外にお客さんがいた)を見れば、プロレスに関する映画がかなりの人気を博すことは明らかでした。
第2幕の時点ではストーリーの軌跡がよくわからなかったが、第3幕ではあらゆる手段を講じ、映画はその常識を超えて、よく語られたストーリーのど真ん中に我々を着地させていた。
とはいえ、この作品がA24の企画であることひ驚く必要はないやろうな。 
この製作会社は、映画の枠を超え、崇高な領域へと押し進めるプロジェクトを支援してきた歴史がある。
今回、彼らは確かに勝者を選んだかな。
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