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Saltburnのkuuのレビュー・感想・評価

Saltburn(2023年製作の映画)
3.8
『Saltburn』
原題 Saltburn
製作年 2023年。上映時間 131分。
長編監督デビュー作『プロミシング・ヤング・ウーマン』でアカデミー賞の脚本賞を受賞し、一躍注目を集めたエメラルド・フェネルのアメリカ・イギリス合作長編監督第2作。
『プロミシング・ヤング・ウーマン』同様にフェネルが製作・脚本も務め、特権階級に生きる人々の欲望渦巻く世界を背景に、美しくも残酷な物語を紡ぎ出す。
主人公の学生オリバー役を『イニシェリン島の精霊』でアカデミー助演男優賞にノミネートされたバリー・コーガンが演じるほか、オリバーを貴族的な世界に引き込んでいくフェリックス役でジェイコブ・エロルディ、フェリックスの母親役でロザムンド・パイクら人気・実力派俳優が共演。
マーゴット・ロビーも製作に名を連ねている。
Amazon Prime Videoで2023年12月22日から配信。

オックスフォード大学に通う学生オリバーは学内で自分の居場所を見つられずに苦労していた。
そんな彼の前に、貴族のような暮らしを送る裕福な学生フェリックスが現れる。
オリバーはフェリックスの一家が所有する広大な土地、ソルトバーンに招待され、そこで忘れられない夏を過ごすことになる。

敬虔なカトリック教徒でイギリスの小説家アーサー・イーヴリン・セントジョン・ウォー(グレアム・グリーンと並ぶカトリックあり、グリーンとは対照的に辛辣な風刺とブラックユーモアを身上とした作家)は、1945年に発表した代表作『ブライズヘッド再訪』(『衰亡記』『名誉の剣』とあわせ三部作)で、オックスフォード大学に通う2人の男子学生の濃密で疑似恋愛的な、そして、おそらくは性的な結びつきを描いていてる。
ウォーの作品の前提は、ブラック・コメディの今作品にも反映されている。
魅惑的な陰謀、社会階級と執着を大胆に描いた今作品ではバリー・コーガンが輝いていた。
彼は、この奇妙で強烈な映画で忘れがたい足跡を残す演技で物語を支配していた。
また、今作品はストーリーテリングに大胆さを示し、絶妙な映像と撮影が鑑賞体験を高めている。
しかし、この映画の中心的な関係は、活字で読者を待ち受けているものよりはるかに奇妙な結末を迎える。
今作品の核心は、社会階級についての説得力のある探求であり、個人的には飽きさせない予想外の展開が盛り込まれていた。
バリー・コーガンは学生オリバーちゅう複雑なキャラに深みとニュアンスを与えていた。
脚本・監督のエメラルド・フェネルは、『リプリー』と比較されるような大胆な物語を提供しながらも、独自の大胆なアイデンティティを保っていた。
オリバーの邪悪な策略と歪んだ精神の描写が何層もの陰謀を生み、グロテスクな美しさと崇高なウィットが融合した魅惑的な作品に仕上がってた。
また、卓越した演技と、執着と野心というテーマを掘り下げたストーリーに支えられた映像の饗宴と云える。
バリー・コーガンがスポットライトを浴びる一方で、ジェイコブ・エロルディやロザムンド・パイクをはじめとする脇役陣も巧みな演技を披露していた。
しかし、癖のある今作品がすべての人の好みに合うとは限らないことは注目に値する。
ブルジョワの過剰さと社会病質者の決意の探求は、観る者によっては不安にさせるかもしれない。
しかし、そのダークな魅力を受け入れようとする人にとっては、クレジットが流れた後も長い余韻が残る魅惑的な旅となるに違いない。
オリバーはフェリックスの招待を受け、彼の一族が所有する豪華な邸宅を訪れる。
そこでは、ホンマ風変わりな登場人物が大勢いる。
高飛車な母親のエルズペス(ロザムンド・パイク)と頭のネジがゆるんでる父親のジェームズ(リチャード・E・グラント)は、自分たちだけの世界に住んでいる。
フェリックスの妹ヴェニシア(アリソン・オリヴァー)については、オリヴァーがすぐに発見したように、彼女は必ずしも粗野ではない。
オリバーはすでにフェリックスのいとこ、ファーレイ(アーチー・マデクエ)とキャンパスで出会っており、彼らはすぐに敵対し、フェリックスの気を引くライバルとなる。
それでも、今作品の世界では、彼らがフレネミー(フレネミーとは、フレンド(friend)とエネミー(enemy)を組み合わせた造語で、友達のふりをした敵、または、ライバルと同時に友である者の意)に発展することを妨げない。
作中の迷路は、彼の混乱した新天地と物理的に対をなすものであり、またそれを象徴するものでもある。
しかし、彼女の明確な芸術的意図は、キリスト教的見地からすると、結局は他の配慮に取って代わられる。
その主な原因は、常に自由奔放な性行為が、やがて胃の痛くなるような変態行為に陥ってしまうことにある。
このような甚だしい逸脱は、しかもフェンネルが人間の本性とイギリスの階級制度を容赦なく殺伐と描いていることを背景に展開される。
無秩序であると同時に憂鬱な今作品は、精巧だが沈みゆく土台の上に成り立っている。
今作品には、簡単な血糊や、異常な性行為、自慰行為に、盗撮、そしてフルヌード(男性)および背面ヌード、いくつかの冒涜的表現、多数の穏やかな悪態、蔓延する乱暴な言葉、時折下品な言葉が含まれてたしご注意を笑。
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