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ナワリヌイのDcatcHerKのレビュー・感想・評価

ナワリヌイ(2022年製作の映画)
4.3
 この映画を観賞して、ふと、20071125に書いた日記を思い出した。
    ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
 ロシアのプーチン大統領の人気が高く、来月初めに行われる下院選は一党独裁に近い状況になり、また大統領の任期延長もあるだろうと数日前の読売新聞で特集されていた。
 この件、以前から、プーチン大統領の下でのロシアを危険視していた者として、由々しき問題だと感じている。
 日本とロシアは、経済的にも強い結びつきを持つようになってきているが、「このまま経済重視で結びつきを強めていっていいものだろうか?」という気持ちが強い。
 ゴルバチョフ大統領、エリツィン大統領時代、民主化路線へと大きく変貌しようとしたあれほどのエネルギーがあったのに、どうしてそれが失われていってしまったのだろうか。
 やはり経済的に食べていけないということのほうが、人間にとっては大事なのだろうか。体制などどうでもいいことなのだろうか。
 人を人相で判断してはいけないが、ニュースを見るたび決して心から笑っていないようなプーチン大統領を見ていると、手段を選ばない冷徹で無慈悲な人そのものに思えて仕方がない。
 外交を見ても、旧ソ連時代のような内容で国連での拒否権を発動しているケースも多い。
 こういうことを考えるときに、いつも、伊丹十三監督が「マルボーの女」のパンフレットに書いていた言葉を思い出す。
 「人は誰でもやくざを恐れる。やくざの前では、目を伏せて、かかわりあいにならぬようにして生きている。やくざの前では人々は誇りを踏みにじられ、屈辱に耐えている。私がやくざを許せないのはそこなのです。やくざが人々を恐怖で支配し、それによって意思決定の自由を奪い、人々に屈辱の人生を強いることなのです。」
 これは、“やくざ”が“国”に変わっても同じこと。
 もう自分の意思さえ持てないような世界など、着られなくても、食べられなくても、住めなくとも、拒否すべきだと思うが・・・。
 実際は、そうできるかどうか自信があるわけではないが、そうあるべきと思っている。
    ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
 この映画を観賞して、「ワリヌイ氏の強さ、家族の強さ、そして、権威主義、専制主義の政府と闘っている人たちの勇気に感銘した。
 今、ウクライナはプーチン率いるロシアの侵略を受け、多くの人が犠牲になっている。ウクライナの人が以前の日常を早く取り戻すことを願っているが、そのためには、ナワリヌイ氏が解放され、ロシアに多くのナワリヌイ氏と同じ志を持った人たちが心を一つにしてプーチン率いるロシアと闘うような状況にならないと難しいと思う。

 この映画は、足し算も引き算もなく、ありのままの真のドキュメンタリー映画だった。

追記
 日本の隣国にある大国も同じで危惧する存在。香港の周庭さんが、収監されて刑期を終えてから、何も発しなくなった。余程怖い目にあったのだと思う。若い人たちが、何も言えない状況は、本当によくないことだ。日本はその点、「報道の自由が・・・」という人がいるが、ロシアや中国の現状を知れば、いかに自由に意見が言え、報道の自由が確保されているのか理解できると思う。
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