原田眞人監督の持ち味、テンポの良さ、わかりやすさ、緊迫感がすべて発揮されていた。また、キャストも最近では時代劇に欠かさない俳優になった岡田准一さんを主演に、鈴木亮平さん、山田涼介クン、最近演じる役が悪役ばかりなので、悪役を演じるのが好きなの?と思う程の伊藤英明さんほか、キャストの渾身の演技で十分観応えのある作品に仕上がっていた。
しかし、映画2時間半の中で、幕末の動乱期をまとめるのは大変で、多少駆け足になってしまった印象は否めない。
“BARAGAKI”と呼ばれていた頃からの鈴木亮平さん演じる近藤勇、土方歳三演じる岡田准一さん、山田涼介クン演じる沖田総司との関係は、たくさんのシーンのやり取りでわかりやすく描かれていた。血生臭い幕末にあって、血生臭い事件ばかり起こした新選組の中でも、仲間の中では、普通の会話、普通の日常があり、幕末という激動の時代に使命感に衝き動かされて、非道とも言える所業を繰り返したことが理解できるものになっていた。
芹沢鴨を演じた伊藤英明さんは、その暴力性や狼藉の数々を見事に演じ、そのあまりの酷さに反吐が出そうになった。
そして、「鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー」でもレビューしたが、沖田総司演じる山田涼介クン。強さ、かっこよさがありながら、儚さが伝わってきた。近藤勇、土方歳三を兄のように慕い、二人から可愛がられている様子も微笑ましく見られた。
自分としては、戦乱を避けたかった(勝手にそう思っている)坂本龍馬派なので、粗野で粗暴な新選組はあまり好みではないが、大きな時代の変革の時の中で、国や民を救うという大義のために自分たちの命を賭して生きた人たち。そういったことが十分に描かれていたと思っている。