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ダークグラスのギルドのレビュー・感想・評価

ダークグラス(2021年製作の映画)
4.5
【目に見えない力と心境、スクリーンに全部乗せしてみた!】
■あらすじ
ローマで娼婦ばかりを狙った猟奇的な連続殺人事件が発生。
その4人目のターゲットにされたコールガールのディアナもまた殺人鬼によって車を衝突させられ大事故に遭い、両目の視力を失ってしまう。

同じ事故で両親を亡くした少年チンとの間に絆が生まれ、一緒に暮らすこととなるが、サイコパスの殺人鬼はその後もしつこくディアナたちを殺害しようとつけ狙う。

■みどころ
面白かった!!
気味が悪いジャッロ要素、エレクトリック+ハードコアなBGM、非現実的なイルミネーション、決まったパターンで鳴るBGMとBGMで予感する「見えない恐怖が迫る」 というアルジェントテイストを踏襲した作品…
というよりはアルジェントのアップデート・リミックスされた作品だな〜というのが率直に感じた印象です。

過去作品でいうと謎を追う不気味な殺人という意味で「サスペリア2」に似ていると思うが、本作は「目に見えない存在にどれだけ力を注げるか?」に挑戦しつつも「俺の世界観と手際の良さを見よ!」と突きつける佇まいが素晴らしかったです!

目が見えなくなった娼婦が娼婦を殺すストーカーと攻防を重ねる姿は、目に見えない恐怖・迫る殺意への怖さをきちんと映していき、「目に見えない力」をシアターに現出するスタイリッシュな作品なのが印象的でした。

その一方で、スピーディに話が進んでいき「俺はジャッロを見せたいのであって、人物描写とかくっそどうでもいいから関係ないやつはすぐ殺すw」というノリで手際よく主要人物以外をスキップするその姿が逆にコメディのような笑いに昇華しているのが天才的でしたw
サスペリアシリーズでもジャッロや独特な演出にステータスを振り切って、人物描写やドラマ演出はおざなり感はあったけど本作はそれが逆に面白くなってる的な?

細かいディテールはアルジェントにとってはどうでも良くて、次の殺しを魅せるがために早送りで飛ばす的なノリだけど、そのノリが逆に面白くしてて70~90年代映画の荒々しい肌触りと相まって最高!

過去作と比べて派手な殺しは少ないけど、アングストみたいな淡々と弱い人間を一方的に殺す姿と殺す時に出来た傷跡をきちんと見せてジャッロとグロテスクで勝負するのも男気あって最高でした!

怖いんだけど面白い。それでもって他の作品にない空気感・スタイリッシュな姿・割とどうでもいい理由で殺人するギャップ萌えも見せてくれるオールラウンダーな映画で素晴らしかったです。

最終的には「目に見えない力」への怪獣バトルみたいなものを感じて満足度が高かったです!
目に見えない怖さが目に見える事で弱点が見えたから、こちらもこちらで目に見えない力を使って撃退する的な。

オススメ!
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