アー君

デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリームのアー君のレビュー・感想・評価

3.6
ライブと映像コラージュや当時のインタビューだけで構成されただけのドキュメント映画ではあるが、活動期間が50年もあったので見どころはあった。時代の流れに呼応して音楽も柔軟に対応するボウイはアーティストとしてではなく、一人の人間としてとても魅力的だった。音楽とコメントはバランスのとれた編集であった。

欲をいえば時系列に少しだけ沿っていないところもみられた。またボウイにとって黒歴史のなのかティン・マシーン時代の映像をバンドとはいえ少しは見たかった。

日本のコメディ番組「鶴太郎のプッツン5」による堂々とした演奏には衝撃を受けた記憶。

自身による音楽的な話は抽象的な発言が多かったので心には残らなかったが、少年時代に小説家のケルアックに影響を受けたという話を聞いて意外に感じたぐらいである。そういえば音楽によるカットアップ手法とかは同じビート文学系のバロウズから着想を得たのかもしれない。(プロデューサーのブライアン・イーノも)

インタビューでもバイセクシャル的なことを証言しているが「世界を売った男」のジャケットも当時としてはかなりセンセーショナルであった。(撮影したのは中間的な色合いを幻想的に使うキーフという写真家)

今回のレビューからは逸脱するが、90年代末に彼は著作権である楽曲を売却せずに証券化(ボウイ債)の先駆者であり、金融業界においても革新的な挑戦者でもあった。この時代はCDが主流であり、後にストリーミング配信へ移行したため資産価値は下がってしまったらしいが、タイミングとしては絶妙でボウイは才能だけではなく運も味方にしている。

ポスターヴィジュアルは煌(きら)びやかだったので、パンフレットはどのような仕様か楽しみにしていたが制作しなかったとのこと。どのようなデザインなのか期待をしていただけに残念至極であった。

ちなみに知っている方もいるとは思いますが「アッシュズ・トゥ・アッシュズ」に無名時代のボーイ・ジョージがエキストラで出演しています。

[TOHOシネマズ シャンテ 15:30〜]
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