アニマル泉

春のアニマル泉のレビュー・感想・評価

(1971年製作の映画)
4.2
マルセル・アヌーンの日本初公開作品。犯罪者(ミシェル・ロンズデール)が逃亡する白黒パートと少女の思春期のカラーパートで構成される。
アヌーンはイメージで繋ぐ。セリフが少なく、状況説明もない。エピソードが断片化されて、回想なのか、幻想なのかにわかには判らない。突然挿入される馬に乗る貴婦人のショットは見ている少女の顔が描かれないので、意味不明なのだが鮮烈で美しい。
ロンズデールが犯した罪もよく判らない。記憶が断片でシャッフルされるので渾然一体となっている。少女のカラーパートは色が素晴らしい。「食べる」場面が多い。祖母が兎の皮を剥いて処理するカット、少女が金魚の頭をハサミで切断するカット、少女が煙草を吸う仮面のカットはショッキングだ。
アヌーンはカメラ目線のショットを多用する。少女のカメラ目線のアップが印象的だ。アヌーンは縦構図が好きだ。ロンズデールのパートは一本道が頻出する。縦構図で奥から集団で人々が走ってくると碌なことがない。対して少女のパートは円が頻出する。りんご、たらい、金魚鉢。ラストはロンズデールと少女の死と生がカットバックされる。
アニマル泉

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