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ソウル怪談の消費者のレビュー・感想・評価

ソウル怪談(2021年製作の映画)
2.6
・邦題
「ソウル怪談」

・ジャンル
ホラー/オムニバス

・あらすじ
第1話「トンネル」
深夜、車を走らせていた所を検問を受け焦りを見せる男、ギフン
理由は誤って轢いた女性の遺体をトランクに載せていた事だった
結局、夜釣りの帰りと偽って難を逃れたが慌てて遺体を捨てようとギフンは再び車を走らせる
しかしその先のトンネルには悪夢が待ち構えていた…

第2話「赤い服」
高校時代の同級生、ウンジの突然の自殺で葬儀に集まったかつてのクラスメイト達
そこで参列者のスジンはウンジが死に至るまでの奇妙な話を耳にする
彼女はマンションのテラスから壁をよじ登り屋上から飛び降りたというのだ
仕事も順調で結婚の予定もあったウンジは何故、命を断ったのか
そんな話をしている中でスジンは唯一ヒョンジュだけが参列していない事も知る
ヒョンジュはスジンが首謀者となり虐めていた相手であった
会話を切り上げ葬儀場を後にし、引っ越したばかりのマンションへと帰るスジン
そこで彼女は自分を見つめる不気味な赤い服の女性を目にする
その晩以降も目撃は相次ぎスジンは恐怖に追い詰められていき…

第3話「歯虫」
歯科院長のチュンジェの元にやってきた1人の男性患者
彼は内側からほじくられる様な激しい痛みを訴えるが一見異常は見られなかったが、レントゲン写真を撮ると歯の根元に影が…
更にその晩、チュンジェは退勤前に男性患者の使った流し台に大量の虫が詰まっているのを目撃
教授に助言を求めると寄生虫だろうと言われるが同様の症例は聞いた事もないらしい
教授の勧めで古い資料を調べるとその正体が判明する
それは“歯虫”と呼ばれる人為的に作られた寄生虫だった
全てを知ったチュンジェは再び来院した患者に厳重な防備をして治療を始めるのだがやがて容態が急変し…

第4話「ひとりかくれんぼ」
女子高生の同性カップル、ジヒョンとへヨンは互いを深く愛し合っていた
しかし同級生達は彼女達に冷たい視線を向け2人は浮いた存在
やがてへヨンはそんな状況に耐えかねたのか自殺してしまう
悲しみに暮れる中、ジヒョンは生前のへヨンと交わした約束を思い出す
どちらかが先に死んだら残った方がひとりかくれんぼで魂を呼び戻す、という物だ
約束を果たそうとジヒョンは夜の学校に忍び込み実行に移す
その裏に隠されたへヨンの狙いを知る事なく…
 
第5話「壁間騒音」
好条件の部屋に引っ越してきたジョンギュンは入居初日から壁から鳴り響く音に悩まされていた
音は眠る時間になっても鳴り止む事はなく苛立ちを感じていたが、壁越しに話しかけノックの回数で返事をさせる様になる
音の主は隣人の女性だと信じ込んでいた彼はデートに誘い承諾された
しかし予定日に彼女はやって来る事はなかった
女性の様子が気になったジョンギュンは忘れ物を渡しがてら隣室を訪ねるのだが…

第6話「中古家具」
新たに住み始めた部屋に家具を買い揃えていたジヘはネット掲示板でクローゼットを無料で提供するという投稿を目にする
それに飛びついた彼女は早速、連絡を取るのだが持ち主の男性は大きな家具であるにも関わらず直接会って取引しようと言う
疑問に思いながらも待ち合わせ場所にジヘが向かうと運ぶのを手伝う仲間が来ていない為、写真を見せるのではダメかと提案される
それは見ず知らずの女性を部屋に入れるのはどうか、という彼の気遣いによる物だったがジヘは特に気にせず結局部屋で確認する事に
しかし鏡越しに見た男性の怪しい目つきに不安を覚え足早に彼女は立ち去る
そして翌日、約束通りにクローゼットが届くのだがそれを目にした彼女の弟は同じ物を出品する投稿を目にしたという
彼は売れたと言われたようだったがジヘは特に気にせず2人で早速、部屋へと運び込むのだがやがてそれは異変をもたらしていき…

第7話「婚姻」
友人の勤める会社の面接を受けたジェフン
そこで彼は違和感を覚える
書類審査の段階で落とされるレベルの経歴しか無い彼が何故面接に呼ばれたのか
面接で産まれた時間と名前の漢字表記を訊ねられたのは何だったのか
担当した人事部のチーム長が女性だった事からジェフンは彼女の下心を疑うが友人によるとどうやら会社には妙な噂があるらしい
会社の会長一家は娘を事故で亡くして以来、変な巫女を盲信しているのだという
友人はそれが関係しているのでは?と踏むがジェフンは気にも止めず
後日、無事にジェフンは合格し入社するのだが友人はチーム長達が彼について妙な話をしているのを耳にし彼に警告
やがて友人の不安は現実の物となってしまい…

第8話「顔泥棒」
コスメショップに勤めるヒョンジュはインフルエンサーを自称し、客が購入を断って去ると堂々と怒りを露わにする様な美への執着心が強い女性だった
広告で稼いでるから仕事は趣味だと言い張る彼女だったが実態はまるで異なる
広告投稿をしようにもフォロワーは極めて少なく偶然居合わせた女性には被害妄想の末にインスタへ中傷コメントを行う
そんな狭量で妄想の激しい彼女はやがてもう1人の自分の存在を幻覚や幻聴で感じる様になり、それは更に彼女を怒りとナルシシズムへと駆り立てていく
やがてそれは彼女自身にも毒牙を剥き…

第9話「マネキン」
マネキン整理の仕事をする青年、ジョンチャンは先輩からある噂を耳にする
倉庫のマネキンは数えてると数が合わない事があるらしい
少ないならまだしも増えている事もあるのだ、と
それは“マネキン人間”と呼ばれネット上にも目撃談が絶えないのだという
ジョンチャンはデマだろうと思ったが帰宅途中にそれを目撃してしまう
マネキン人間の様子はネットの情報と一致し、恐怖を抱き始めるジョンチャン
そして彼は再び遭遇してしまうのだが「目を合わせず平然と通り過ぎる」という決まり事を破ってしまい…

第10話「脱出ゲーム」
脱出ゲーマーとして有名なヌリ、ヨンミン、セリの3人組
ある日、彼らの元に業界最高の報酬を提示した広告依頼が飛び込む
依頼を受け入れ現場へとやって来た一行
その脱出ゲームは悪魔崇拝者が集うというホラーなコンセプトで作られていた
やけにリアルな血生臭い小道具や演出に若干ビビりつつも1つの解読につき1000万ウォンという報酬もあり、ゲームを開始する3人
その中でヨンミンとヌリは仕掛けによって怪我を負ってしまうが大金を諦められずそのまま突き進んでいく
やがてヨンミンとセリは檻に閉じ込められ、残されたヌリは奇しくもゲーム開始時に告げられた悪魔バフォメットへの忠誠を示す為の「欲と裏切り」を報酬の独占という形で実行してしまい…

・感想
オムニバス形式の短編ホラー作品「クェダム」の映画版として制作された同じくオムニバス形式の作品

「クェダム」の方は使い古された怪談を何の捻りもなく描くばかりで中断してから放置しっぱなしだったもののYouTubeで目にしたマネキン人間のビジュアルの絶妙なキモさに惹かれて鑑賞

本作は数多くの人気アイドルがキャストとして名を連ねておりそこも注目して観た
リストに書き起こすと…
第4話「ひとりかくれんぼ」
ジヒョン役 アリン(OH MY GIRL)
第5話「壁間騒音」
隣人女性役 EXY (WJSN)
第6話「中古家具」
ジヘ役 ソラ(WJSN)
第7話「婚姻」
ジェフン役 イ·ミニョク (BTOB)
第8話「顔泥棒」
ヒョンジュ役 ソ·ジス(ex. Lovelyz)
第9話「マネキン」
ジョンチャン役 ショヌ(MONSTA X)
第10話「脱出ゲーム」
ヌリ役 チュ·ハンニョン(THE BOYZ)
ヨンミン役 ポン·ジェヒョン(Golden Child)
セリ役 AleXa
…とKポペン的には錚々たる面子が揃えられている
しかしこれがはっきり言って逆効果だった

アイドルを中心としたキャストが特別下手とかそういう事じゃない
ギャラで予算を使い切ったのか?と思う程にどの話もただただ陳腐だった
前作「クェダム」よりは捻りはあったし中には良い意味で気持ち悪い描写もあった
でもその捻りがどれもベクトルがズレてるという…

第1話「トンネル」はストーリーがありきたりなだけならまだしも轢き殺された女性の亡霊が激しく運転手をメッタ刺しにするというフィジカル面強すぎだろ…wとしか思えないラスト
白い手形が内側から付いてる、という描写は良かったんだけどね…
第2話「赤い服」もまた自殺を偽装しかつてのイジメ加害者達を壁をよじ登って屋上近くから突き落とすというフィジカルのエグい悪霊が…w
第3話「歯虫」は歯茎に寄生虫、という設定とか流し台に残された無数の寄生虫や感染が進んだ後の眼球への侵食など不快描写は健闘していたけどまさかのゾンビオチという…w
口内ドリル描写は良かった
第4話「ひとりかくれんぼ」は都市伝説ホラーでも題材とされる有名な遊びを元にしていたのにまさかの食人オチ…w
蘇ったへヨンの口を開いた時のプレデターっぽいビジュアルは悪くなかったし一体化するラストやハート型の火傷痕の共有とか細かい部分では良かった部分もあるけど展開が特に安っぽい
制服姿のアリンちゃんは可愛かったけども…
第5話「壁間騒音」はタイトルで何となくオチが分かっちゃうのがそもそも…
壁の内部に吸い込まれる、という「ポルターガイスト」みたいな最期はちょっとウケたけどEXYちゃん演じる隣人女性も特に活かされてなかったしシンプルにキャストの無駄遣い
第6話「中古家具」はゾンビやカニバリズムに続いてヒトコワな話なんだけどこれも捻りが無さすぎて…
男がジヘを襲う中でシャイニングオマージュとかもあったけど使い古され過ぎてて味がしないし…
男に罵声を浴びせるソラちゃんが観たい人にだけはオススメ()
第7話「婚姻」もやっぱり捻りがない
子を亡くした親が生きている異性をハメて結婚させる、という風習は中華圏で実在するしそこそこ有名だからなぁ…
せめてもっと死んだ娘を怖くするなり霊障を作り込むなり出来たんじゃないすかね…
「中古家具」に続いてオマージュもあったけど特に怖さを増幅させてもなかったので実質ノーカン(シャワー中に頭に触れる手と標的を覗き込む女性の霊、というのが多分「呪怨」シリーズオマージュ)
第8話「顔泥棒」はヒョンジュの狂ったクズという人物像を散々強調した割には顔を奪われるというのが物理でしかなくて最早笑うしかない…w
スマホから手が現れて…っていうのもSNSに溢れるルッキズムを皮肉ったのかもしれないけどこっちも力技過ぎて微妙
第9話「マネキン」はマネキン人間のカクカクとヌルヌルの間を行く様な動きとちゃんとキモい肌の質感、倒されて呆気なく頭が外れ首から激しく流血するも逆に体が奪われて自分がマネキンにされてしまう、という展開なんかは良かった
期待通り一番好きだったけどマネキン人形を操る強面の男は結局何だったんだ?という疑問が残されてモヤる
第10話「脱出ゲーム」は悪魔崇拝を題材としているけどキリスト教が割と一般的な韓国とは思えないほどその描写が薄い!
ゲーム内で目にする血まみれの遺体やラストの五芒星上でヌリが生贄になって死ぬ場面なんかも記号以上の意味を成していなかったのがなぁ…
ドボイズとゴルチャのメンバーに並んでAleXaちゃんが出ていてアメリカ人なのを活かして英語を喋るキャラにされていたりと実質AleXaちゃんの宣伝でしかなかった…w
以前はサイバーパンクコンセプトの楽曲をやっていて今はUS志向の強い楽曲を歌ってるので気になった人は聴いてみてください()

以上でそれぞれの感想は終わり
長々と書いたけどそれすらも時間の無駄に思えてきた…w

ちなみにスコアはほぼ「マネキン」に対しての物
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