へたれ

ザ・メニューのへたれのレビュー・感想・評価

ザ・メニュー(2022年製作の映画)
2.1
良かったとこ レストランの雰囲気を保つプロダクションデザイン
フロアと同じくらい広い厨房や、厨房の左右対称のデザインなど、偏執した狂人が牛耳るレストランという不穏さをよく表していた。
隣のテーブルの客のセリフが邪魔しない程度に入ってくるような音のミックスも、レストランという雰囲気を出すのに一役買っていた。

ダメだったとこ サスペンス的な手口の下手さ
「そして誰もいなくなった」のような、孤島に閉じ込められた設定で客たちが酷い目に合うという予感は与えられるのに、レストランの客たちが最後になるまでそれほど酷い目にはあわないので、クライマックスに向けたサスペンス感がまったく生まれない。この映画に足りなかったのは、起きていることをレストランの余興だと最後まで信じて疑わずに死んでいく客とか、食事どころじゃないと狂乱に陥って暴れる客とかだった。この映画の最大の失敗は、映画全体の構成をコース料理に見立てるというアイデアに囚われすぎたために、何があっても最後まで料理に付き合おうとする客を出さないといけないという設定上の無理に起因していると思う。その結果、映画の観客が共感できる人物はこの映画の中にはいない。アニャが演じた女がかろうじてその立場にはあるけど、その割には彼女に謎を持たせすぎ。
また、脱出ゲームもの方面のサスペンスを出すという可能性もあったけれど、それであればこのレストランから逃げ出す数々の試みがあってそれが失敗するべきだし、失敗には相応の罰がないといけなかった。
犠牲者的な人は途中に何人か出てくるけど、その人たちが行った罪と与えられている罰の因果関係がないので、「次は誰が犠牲に?」という推進力も働かなかった。
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